民芸展トークセッションで話したこと

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    ホンミスジとヒオドシ

    今日は久しぶりに新作をご紹介する予定でいましたが、展示会で10日ほど運動していなかったので、昨日は昼過ぎから町の健康施設は行って大汗かいてきました。消費カロリー1100kcal 。15km前後のラン二ングに相当する運動量でしょうか。施設の温泉に入ってから、東京のギャラリーに荷物を送り、夕方から作業場に入りましたが、作りかけた鍋は仕上がりませんでした。というわけで、今日も別の話題です。上の写真左側はホンミスジ。どちらがオスメスか判別できません。翅の表は地色が濃い焦げ茶、裏は赤茶色がかっていますが、模様は表裏あまり違いません。右は前の記事に載せましたヒオドシチョウ。裏は地味で表は派手。私のいい加減な推測ですが、ホンミスジは食草の葉を丸めてその中で幼虫が越冬します。ヒオドシチョウは成虫で越冬するので、休眠中の安全のために翅を閉じると目立たない姿になったのではないでしょうか。

    今回の展示では地元という事もあり、会場を管理する吉川館長には、この仕事を始めたころ佐久の民芸協会でお世話になった歴史もあり、民芸館を拠点に活動する信州宮本塾の学習会という企画で工芸について語り合う集まりを持ちました。そこで私が中心的に話したことは、鍋を「工芸として作る」ことについて、なぜホームセンターで売っている鍋の100倍の価格になるのか、デパートで売っているちょっといい鍋の10倍の価格になるのか。10倍100倍の価値があるのだろうか、という話題でした。会場で参加した方々はそのような突っ込んだ疑問は遠慮して聞きませんので、私からの問題提起です。

    私は以前から、工芸とは幻を売る仕事だとたびたび話してきました。もの作りの仲間達からは嫌われます。自分たちは確固とした「もの」、人の暮らしに役に立つ機能性の高いものを作っていると主張されます。使い手からはエッと怪訝な表情が返ってきます。やはり、使いやすく便利な道具を選んでいると思われているようです。もちろん道具である以上は機能性が求められるのは当然です。「もの」としての良さには、機能性、多用途性、耐久性や修理可能な事など、いろいろあるでしょう。ホームセンターの500円や1000円の鍋に較べると、たぶん10倍の価値は何とかクリアーできるのではないかと、不遜にも考えています。10倍の値段で売っているデパートの鍋よりは、「もの」として優れているでしょう。

    では100倍の価値があるか、デパートの鍋の10倍の価値があるのか。現実にはその値段でも何とかお客様にお買い上げいただいています。(その価格でも私は低所得層なのですが) その部分が、工芸の「まぼろし」なのではないでしょうか。私の作る鍋の多くは、食卓に出して使う事を想定しています。台所では食事を作る道具なら、食卓では食事を演出する役者です。前者が機能性なら後者はデザイン性と言えるかもしれません。鍋を作る側にとって、前段が「工」で後段は「芸」と言うことになります。「芸」と言うのは、絵画でも文学でも演劇・写真写真・映画でも、すべて幻です。幻を見るなら、楽しい思いをしたい、あるいは鋭く問題をえぐり出すエキサイティングな幻を見て、現実の暮らしに戻りたい。幻に騙されるとこと、高い表現力の芸に騙されたい、そんなスタンスで芸に触れたいと思います。

    鍋と言う道具を買うと、絵画などと違って、買われた方が今度は道具と食材から料理を作る作り手にかわります。その先には自分自身、家族、友人、レストランならたくさんのお客様が、消費者として存在します。料理も幻を作る芸です。栄養摂取という機能性の部分だけなら、食材そのまま、あるいは錠剤やチューブの食もあります。味や見た目やタイミングなど、口に入り喉を通る一瞬の幻で、その行き着く先は・・・。料理こそ夢まぼろしです。料理を作る人は演出家です。気合いの入った芸を演じる役者としての道具。機能性の先にある幻こそが価格の根拠、お客様が期待する部分なのではないでしょうか。数字化できる機能性に対して、その部分は一つ一つが気が抜けない仕事になります。
     
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    「打ち出し」ではなく「鎚ち絞る」とは

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      絞る写真

      展示会場でお客様から「打ち出し」の銅鍋ですねと、よく言われます。始めてのギャラリーやデパートの店員さんにも言われます。そのたびに「打ち出すのではなく」「鎚ち絞る」のですと答えながら、説明することになります。動画を用意しておけばわかり易いのですが、言葉であらわすのはなかなか難しいものです。平な銅板が鍋になるのですから、内側から打って外に出していけば立体になると考えるのが普通です。

      円周部はそのままで、中心部を延ばしたら、延ばした部分は薄くなります。火に当たる底が一番薄くなったのでは、鍋としては困ります。上の写真は鍋の本体を成形している工程です。銅板が光っている部分は左の金鎚で既に鎚ったところで、上縁側の艶消しの部分はこれから鎚つところです。鎚った部分が内側に入って円周は、まだ鎚っていない部分より小さくなっていることが判ります。鎚っていない部分が中に引っ張られて波打っています。餃子の皮に餡をおいて、皮ごと親指と人差し指で円を作った上に置き、餡の乗った部分を上から押すと、周囲の皮はしわしわになります。銅板の場合は、餃子のように皺を重ねてはいけません。出っ張った山を鎚って谷の方にならしていきます。その結果、一度全体を鎚ち絞ると上端の直径は1〜2cm小さくなります。

      焼き鈍した銅板は鎚つと硬くなります。硬くなっている部分を、頭が半分見えている金床に当てておいて、まだ柔らかい部分を外から鎚って凹ませれば、硬くなった部分はふくらむことなく、柔らかい部分だけが内側に絞られていきます。次々、上縁部に向って同心円状に鎚っていきます。これが「鎚ち絞る」という作業で、上縁まで鎚ったら、また全体を焼き鈍して、底の方から鎚ち絞っていきます。底に近い部分はあまり絞りませんが、鎚ち固めておかないと、その先を鎚つ時しふくらんでしまいますので、鎚の平らな面で鎚っておきます。側面は鎚の横長の頭で鎚ちます。

      ということで、工程の半分は金鎚でカンカン鎚っています。人間プレス機。電力でハンマーを打ち下ろす「鍛造機」という機械もあるようですが、鉄を鎚ち延ばすのには使えても、銅の絞りには不向きなようです。適度な空腹感を味わいながら鎚を振るうのが、程よい加減のようです。
       
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      一番時間のかかる工程・・・仕上げ鎚ち  Hanmering to smooth the copper surface.

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        仕上げ鎚ち,鍋造りでは一番時間のかかる工程が、「仕上げ鎚ち」です。写真は片手鍋深型の仕上げ鎚ちを途中まで鎚った状態です。下部の艶がある部分は鎚の平らな面で鎚ち締めてあります。上の部分は、頭が横長の鎚で、何度も焼き鈍しては鎚ち絞って、ほぼ形が完成し、最後の焼き鈍しをして硫酸で酸化膜をきれいに洗った状態です。表面がかなりデコボコしているのが判ります。

        デコボコのままでは、洗いにくく、へこんだところに汚れが溜ります。特に食品が入る内側は、できるだけ滑らかに仕上げます。表側は写真の続きで上端まで鎚ち、再度全体を鎚ちますが、内面のデコボコがとれない時は、さらに何度か鎚ちます。外側から鎚ちますので、内面が見えず、金床と銅板の当たる角度や鎚が当たる場所など微妙に変わりますので、ちょっとした狂いで何時間も余計にかかることがあります。

        汚れが溜らないように表面を滑らかにするだけではなく、鎚つことで焼き鈍った銅板が硬くなります。写真上の状態では、上端を両手で押しただけで簡単に歪みます。ガス台のゴトクの当たっただけでも、凹んでしまいます。銅や銀は、真っ赤に焼くと、冷えても柔らかいままですので、手で持って鎚つことができます。鉄のように熱いうちに鎚たなければならない素材は、ヤットコでつかんで鎚ちますので、微妙な曲線を造るのが困難です。鉄は熱いうちに延ばしたり曲げたりしますが、鎚つことで硬くなりませんので、硬くなった所を金床に当てて、まだ鈍っている部分を鎚って内側に絞り込んでいく作業には向いていません。鎚ち絞った分だけ、金床に当たっている部分が逆にふくらんでしまいます。

        平らな銅板から、荒鎚ちでほぼ形が出来上がるまでの時間より、表面の仕上げ鎚ちの方が、通常時間がかかります。仕上げ鎚ちで出来上がってくる曲線・曲面が勝負所です。今日は午前中、7月の展示会DM用の写真のレタッチに時間をとられ、小さい片手鍋一つ、鎚ち終えられませんでした。仕上げ鎚ちが終ると、注ぎ口を鎚ち出し、持ち手を差し込む部分を取り付けて、鍛造の工程は終わり。錫引き、表面の硫化、磨き、持ち手を削り出して取り付けて、制作の工程は終了します。後は苦手な販売やら経理やら、です。
         
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        銅パイプから作る花入れ、酒器など

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          パイプから作る

          銅鍋など、通常は平らな銅板を鎚と金床で鎚ち絞って立体を作ります。平面から立体になるのですから、背が高く深い形にするほど、何度も焼き鈍して鎚ち絞る工程を繰り返すことになります。それに較べると、銅のパイプを切って底をつけるだけで立体にするのは「ずるい」気もします。それだけで、機能的にはほとんど充分なのですが、いくらなんでも楽しくはありません。生け花やお酒など、とくに趣味の領域ですから、使えればいいというものではないでしょう。酔うだけならエタノールを水で割ったようなものでもいいのですが、幻にしても心地よい幻に遊びたいのが酒飲みの心。余計な作業を施します。

          作品の上部が白いのは、銀ロウを最初に融かして表面に塗っているためです。5〜600度で融けますので、銅パイプ全体を熱して塗り付けていきます。その温度になると、銅の素地は焼きなまされて柔らかくなりますので、鎚ち目をつけたり、形を変化させる前に行います。酒器の内側が白いのは錫で、錫は250度ほどで融けますから銅は焼きなまされません。工程の最後の方で錫引きします。錫を塗った後ではもう、焼きなますことが出来ませんし、銅表面の酸化膜や汚れを酸で洗い落とすこともできません。

          「絶滅危惧職」と自嘲するほどマイナーな仕事ですから、この仕事のために銅のパイプが売られているなんてことはありえません。いろんな使い道があるでしょうが、水道管や給湯パイプ、燃料パイプなどが本来の用途でしょう。建築関係の素材の寸法は、mm・m の他に、尺・寸やインチなどが混在していて、パイプの外径や肉厚など、均等な間隔で自由に手に入るわけではありません。外径が50mm ではなく50.8mm だったりします。仕入れるときは4mか5mの長さのものを輸送の都合で半分に切ってもらって購入しますが、いくつかそれで作っているうちに、素材の寸法を変更することもあって、いまや仕事場の片隅にこれからの一生では使い切れないほどのパイプが積んであります。それでも、新しい試作品のために1本4〜5mのパイプを買い足すこともあります。

          パイプから作る作品は一般的に、鎚ち絞って作るものの半値ぐらいです。値段はほぼ、作るのにかかる手間に比例しますので、作業量が推測できると思います。茶筒ぐらいの深さでしたら、鎚ち絞って作ることも出来ますが、パイプから作る場合の倍ぐらいの価格になるでしょう。花入れのように深くなるとかなり時間がかかりそうです。価格は4〜5倍になって、その割には仕上がりにそれほどの差を感じないでしょう。今のところ敬遠しています。
           
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          金鎚の相方・・・金床の各種

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            金床各種

            鍛造、特に「槌起」とか「絞り」と言われる、銅板や銀板を鎚で立体の外側から鎚って、口径を絞り込んで行く作業では、鎚と金床(かなとこ)が主役です。左側に林立する金床類は、作業中裏側に入って見えなくなりますので、案外映像では注目されません。右側の写真は西洋風の金床でアンビルと呼ばれています。鉄の鍛造(鍛冶屋仕事)に使われることが多く、絞りではなく延ばしたり曲げたるする作業に使われます。鍛冶屋がヤットコではさんだ熱い鉄をハンマーで鎚つ度に、飛び散る火花の映像でお馴染みです。絵になる作業ですね。私の場合は、おもに鍋の持ち手の成形に使います。左の金床を使う絞り鎚ちは、コツコツ地味〜に繰り返していきます。

            銅板を曲面に絞り込んでいきますので、金床の頭は一般に曲面です。鉄と違い、銅板は一度焼きなますと冷えても柔かいので、手で持って金床に当てて、鎚で鎚ちます。当て金とも呼ばれる所以です。平らな銅板を、何度も鎚っては焼き鈍してまた鎚ちます。あらかた形を作り上げるまではちょっと荒っぽい作業ですが、仕上げ鎚ちになると金床と銅板の角度や接点で、銅の両面の仕上がりが微妙に変わります。その結果で鍋の内側の表面が滑らかにできるか、外から見た曲面が思い通りの曲線を描くかが決まります。鎚を振り下ろす角度も重要で、そのために椅子の高さを変えたり、時には床に座ったりおかしな格好で鎚つこともあります。

            金床の頭の曲面は好みのアールに研ぎ出します。表面に傷がつくと、銅板の方にそれが転写されますので、ときどき磨きます。芸大などの大学で鍛金を教わった人は、たくさんの種類の金床を使い分けるようです。100本もあると、自慢げに言われることもあります。私はせいぜいその10分の1ぐらい。むしろ、道具の形体にしばられて作業するより、フリーハンドで自由に成形する方が好みです。その上、鍛金などというほとんど「絶滅危惧職」では、その道具がだんだん手に入りにくくなります。鎚はまだ、彫金でも使う人が多く、普通の大工仕事や職人仕事で使う鎚でも、加工すれば使えるものがいろいろあります。その点、金床の入手には不安がありますが、毎日使っているからといって減るわけではありませんので、とりあえずは困る事はありません。今日も、金床は銅板を当たられて、鎚でたたかれています。
             
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            玉子焼き器は折り曲げて作ります

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              玉子焼き器途中

              ほとんどの鍋は、銅板を焼き鈍して、内側を丸い頭の金床のあてて外側から金鎚で鎚ち、絞り込んでいきます。技法で異色なのがコーヒー・ドリッパー玉子焼き器で、地金を折り曲げ、リベットでとめて形を作って行きます。後からあまり鎚つと変形しますので、成形する前に鎚目をつけます。パーツは上の写真にある3点以外に、黒檀の持ち手を後から削り出します。

              鍋の場合は最後に仕上げ鎚ちで、しっかりと地金を硬く締めますが、玉子焼き器では折り曲げる際に割れが入らないよう焼き鈍った状態で成形します。地金が充分厚いので、ぶつけたりしても変形することはありませんが、成形後に角や縁は鎚ち締めておきます。写真は外側から撮っていますが、裏面は既に錫引きしてあります。コーヒー・ドリッパーでもそうですが、組み立てて作る場合は隙間にしっかり錫が入るように、あらかじめ錫引きして組み立てた後から再度、多めに錫を流し込みます。表面の変色は錫引きする時の加熱によるもので、錫を施した後から酸で磨くことはできません。

              絞りこんで少しずつ形を作っていく鍋では、同じ工程を何度も繰り返しますが、折りたたんでつくるばあいは、複雑な異なる工程を次々順番にこなしていきます。そのため、段取りを最後まで見通せていることが重要です。前の工程に戻って修正することが出来ない場合もあります。絞り込んでいく鍋は、いくつか並行して作っていく方が能率が良いのですが、玉子焼き器の場合は、各パーツが揃ったら一気に組み立てます。

              私の仕事、アートか工芸か職人芸か、分類してレッテルを貼ることに意味があるとも思っていませんが、いずれにしても仕上がったもので勝負ですから、技術や工程を紹介するのは本来するべきではないと思ってきました。ホームセンターで売っている500円の鍋でも使えないことはないのですから、こんな高価な鍋を作る以上、機能性の高さや修理が可能なだけではなく、使う楽しさ、わくわくする感じを提供したいと思っています。夢や幻かもしれませんが、そうであればなおのこと、いい夢を見ていただきたい。直感的に感じ取ってくださる方もいますし、合理的に納得してくださるお客様もいます。手品師や錬金術師に通じる仕事ですが、たまには「たねやしかけ」をお見せします。
               
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              リベットの出っ張りが気になる

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                 リベット

                昨秋、宮城県での展示中にお客様から、表側に出っ張るリベットの頭が引っかかると指摘されました。触ってみると確かに指に当たります。ちょうど居合わせた岩手県の男性(以前からネットで話していて、二日前に初対面)が、展示作全部を触って、いくつか引っかかるものを発見。その場で、ヤスリを使って削りました。意外と毎日作っていて気づかないことがあるものです。あまりひどいと指を切りそうですし、洗うたびにスポンジが痛むかもしれません。

                鍋の内側は滑らかにできているリベットの頭の方ですので、引っかかる事はありませんが、外側の持ち手部分は3mmほど出っ張らして、鎚でうって頭を拡げるため、真鍮の持ち手部分との間で段差ができて、引っかかりやすくなります。頭の周辺部を鏨(たがね)で丁寧に打てば、かなり段差を埋められますが、鍋本体を支えながら細かい調整はかなり手間取ります。

                今回は、持ち手側の穴の開口部を斜めに削って、打ち締めたリベットの頭が出っ張らないようにしてみました。逆三角形の頭の木ネジを木におさめる要領です。真鍮の持ち手は銅より強く、厚みもありますので、このような加工が可能になります。内側から入れたリベットの頭を打って潰した時に、掘り込んだ穴がちょうど埋まるぐらいの長さにリベットを切ります。写真左の下の穴がリベットを差し込む前の状態、上が打って潰した状態です。右の写真は真横から見たところで、頭が出っ張っていないことが判ります。

                鍋の内側も出っ張りをなくした方が洗いやすいでしょうが、本体の銅板は持ち手に較べると厚みがなく、強度も真鍮より柔らかいので、掘り込みをするには不安があります。最後に持ち手と本体の間に錫を流しますので、たぶん強度的には十分だと思いますが、そのうちに試してみるかもしれません。今回のやり方で、また別の弊害があるかもしれません。お客様からの指摘もありがたいし、作る側も漫然と続けていてはいけないという事ですね。

                リベットでとめることを、昔は「鋲でかしめる」と言っていました。東京の元浅草界隈には「螺鋲店」と看板のある、螺子と鋲の専門店がありました。いまも残っているでしょうか。高度成長の頃、ビルの工事現場では鉄骨をリベットでとめる鋲打ち銃(リベットハンマー)のダッダッダッダという大きな音が響いていたものです。当時は、都会が成長していく音のように思えて聞いていました。

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                コクタンの原木・・・片手鍋の持ち手を作る

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                   コクタン原木

                  先日、銀座二人展が終了し、出品の引き上げに出かけました。都心に車で行く機会は少ないので、この機会に重たい買い物をしようと、銀座から築地を抜けて、新木場へ。高速に乗るほどの距離ではないので、初めての風景を見ながら東京湾岸の埋め立て地を走ってきました。

                  このところ、片手鍋の持ち手について、このブログに記述が増えています。修理に戻って来る鍋の内、半分ぐらいが片手鍋です。使用頻度の高さと小振りなため空焚きしやすい事を考えると、修理が多いのは当然でしょう。1万円前後の修理代をかけても、直して使いたいと思っていただく事は、作り手にはとてもありがたいことです。

                  他の鍋と違い、木の持ち手をつけている片手鍋は、鍋掴みを必要としません。銅という素材は熱伝導の良さが一番の特長ですが、持ち手が焦げやすい事になります。柔らかな木ではすぐに焦げてぐらぐらしてきます。30年前、片手鍋を作り始めた頃から、持ち手の素材に黒檀(コクタン)を使ってきました。南方からの輸入材ですので、木場に行けば手に入るだろうと、何もしらずにノコノコ出かけて、上質のコクタン材の価格にびっくり。床の間に使ったり、クラリネットを作ったりするのですから当然です。端切れや一部に腐食が入った安い物を分けてもらいました。

                  今は、新木場駅近くに、工芸家や趣味の人向けに、様々な木を小売りする店があり、少しだけでも気楽に選べます。写真の下2点は比較的良い材で、小さな棚板一枚ほどの大きさが1万円前後の値段です。上の3点はひびや腐りが入っていたり、白い部分が多く使えるところが限られますが、おもしろい事に量り売りで、下のものに較べると2割ぐらいで買えます。熱と水に強い材で、箸の素材にもしますが、かなり重いものです。重さを体積で割ってみますと、水より1〜2割重い事がわかります。水に浮かない木だということです。

                  木工専用の機械を持っているわけではありませんので、この木から持ち手を切り出すには金属用の刃をつけたジグソーを使います。丸みを出すには、木工ヤスリでガリガリ削り出し、サンドペーパーをかけ、最後にキサゲ(金属用スクレーパー)で仕上げます。表面は植物性オイルで拭きますが、使っているうちに艶もますでしょう。

                  片手鍋持ちて2種上のものは作りたての新品ですが、下の方は空焚き修理で焦げた根元を切り詰めて、表面をキサゲで磨き直した再生品です。10年ぐらい使っていた持ち手ですが、新品と遜色ない状態を保っています。やはり、素材はもの作りの基本の一つと実感します。

                  乾燥したデパートの会場の置かれたり、長期間使わないでいると、如何にコクタンといえども、乾いていくらかがたつく事があります。そんな時は一度洗うと、水分を吸ってぴったりもとに戻ります。

                  手の大きさは人によって違いますので細めにしたり、台所でぶら下げずに置く場合はつり金具もない方が手に馴染みます。本体の鍋に限らず、オーダーされる時にご希望があればご相談下さい。

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                  湯気抜き穴と閉じる金具・・・酢重鍋

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                    酢重鍋湯気抜き金具 

                    両手鍋の銅蓋は通常、湯気抜きの穴をあけません。蓋の大きな空間に熱い蒸気が循環して、鍋全体の温度を一定にし、速い加熱と煮上がった後も蒸らしと保温の効果をねらっています。しかし、強火で加熱すると吹きこぼれやすい欠点があります。沸騰するまでは近くにいて、火加減に注意する必要があります。

                    レストラン酢重正之でカウンターにならんでご飯を炊いている「酢重鍋」は、比較的一気に炊き上げるために、湯気抜きをつけて、炊きあがりには金具で穴を閉じるようにしています。いくつも並行して炊いているので、微妙な火加減が間に合わずに、お客様の前で吹きこぼれるのを避けたいという事もあります。炊きあがったら穴を金具で閉じて、しっかり蒸らします。ご飯炊きの鍋の場合は毎日使いますので、穴があってもなくても火加減はそれぞれすぐになれると思います。

                    日常使いの道具では、これが一番というのはなさそうです。使う目的、環境、人によってそれぞれ使いやすい形や構造・素材があるでしょう。銅鍋は重いと言う人もいれば、その何倍も重い鉄にホウロウ引きの輸入鍋がいいと言う人もいます。熱伝導の良い銅鍋より、熱伝導の悪い土鍋の方が冷めにくくといいという人もいます。違いをよく知った上で使いこなせば、それぞれの良さを引き出せるという事でしょう。

                    穴の直径は4mm。両手鍋をご注文いただいて時点でご要望があればつけます。金具の価格は¥4,000(税別)。後からつける場合は他に送料がかかります。

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                    金鎚とキサゲを買う

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                      金鎚とキサゲ


                      12日、1cmほどの雪の朝 、銀座 ギャラリー江の二人展にでかける途中、一つ早い新幹線に乗って、上野からすぐの道具屋さんに立寄りました。まだ、信州に移る前、35年以上になりますが、金属工芸の仕事を始めた時から、その界隈で仕入れた道具や材料、何よりも店先で交わす話の世話になってきました。

                      伝統的な職人仕事を修行した事がなく、作りたいものが先にあってそのための技術を一人で習得してきた私にとって、専門の道具の形状や店で教わるその使い方は貴重な情報でした。当時に較べると、元浅草周辺の専門店も少なくなり、技術の伝承に必要な道具が残っていけるのか、不安な状態のようです。店のオーナーは「トキの保護もいいけれど、この仕事も保護しないと絶滅する」とぼやいていました。

                      上の写真、柄のついていない金鎚の頭3個は今回仕入れたものです。ホームセンターで売っている金鎚で代用できないわけではなく、それほどガンガン使わない形状の鎚はそれですましていますが、長時間絞り込みに使う重めの鎚はやはり材質とバランスの良いものがほしくなります。価格的にも、1本が1,500円程度ですので、ホームセンターの金鎚より特に高いわけではありません。店主に名刺を渡して、今後電話やメールで注文できるようにお願いしました。

                      柄がついている2本は、長年使って来たものです。鉄が良いのでしょう、柄は何度も付け替えましたが、本体はまったく新品と変わりがありません。新しい頭は好みの形状に削りだし、研ぎ、磨いてから使用します。横長の側は絞り鎚ちや曲げ、表面に長い鎚ち目を施すのに使います。平らな側は緩い曲面にして磨き、仕上げ鎚ちで使います。丸い鎚はもう少しきつい曲面に磨き、やはり仕上げ鎚ち用です。

                      右下の2本は洋風の「キサゲ」。エッチングの道具でもあるようです。尖った三角錐状の側は刃を研いでスクレイパーとして使います。昔の大工道具「槍鉋」を小さくしたようなものです。バリをとったり、出っ張っている部分を削りとってから、反対側のちょっと先が曲がっている滑らかな部分をデコボコや傷に押し付けるようにこすり、表面を平に仕上げるへら作業に使います。先にキサゲ側で大まかに削ったりヤスリやペーパーをかけた後から、ピカッと艶を出したい時などに登場する道具です。展示会場で、作品表面の思わぬ傷を見つけてしまった時など、その場で補修に使えますので、持ち歩き用にもう1本ほしくなり買い求めました。下の1本は長年使ったものですが、先が少し欠けてしまった以外はまだずっと現役で働きそうです。

                      道具は、どうやら使っている人間よりも長生きしそうです。電動工具も、10年でだめになる家電製品と較べると、30年以上使っているものがいくつもあります。そんな道具を使って私が作っているものもまた、誰かが使う道具です。出来る事ならやはり長年使い続けられる道具を作りたいものです。

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                      もとの銅板と仕上がりを較べる・・・No.4147 つる鍋

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                         今日12月12日は、出来上がったばかりのつる鍋を持って、銀座 ギャラリー江 二人展 会場に出かけます。今回の展示、年末でオーダーがつまっていて、あまり会場に出られません。ギャラリーのオーナーは、これまで長くお世話になっていますので、判らないことなどお尋ねください。細かい事は私の携帯(090-4180-2478)へお電話ください。

                        No.4147つる鍋


                        一般的には「銅のうちだし」という言葉を聞かれると思います。少し専門的な表現では「鎚起」という言葉が使われます。打ち出すと言われると、多くの方はふくらみの内側から金槌でたたいて外側へと銅板を延ばして出して行く工程を想像するようです。「鎚起」と呼ぶのは、平らな銅板の周辺部を鎚で起こして、立体にしていく作業を表現するためでしょう。

                        周辺部を外側からたたいて立てていくとどうなるか、紙が素材なら立てられた部分は皺になったり重なったりします。焼き鈍ました銅板は柔らかく、皺の凹凸をたたいて平にする事ができます。中心部から外側へ順次同心円上をたたいて、各段の同心円の円周を縮めていく事を繰り返します。鎚ち絞るという表現が近いでしょう。

                        写真右半分は、もとになった大きさの銅板の上に仕上がったつる鍋を置いてみました。銅板は直径が24cm、仕上がった鍋の口径は18.6cm、上部で一番絞り込んだ部分では18cm以下になっています。直径で6cm絞り込んだことになります。細かい話になりますが、起き上がった銅板の面積は長さの2乗で効いてきますので、縮んだ半径分より高く仕上がります。ちょっと難しいでしょうか。起こして出来た皺を延ばさずにつぶすと板の厚さは厚くなりますが、同じ厚さになるように上にいくらか伸びるような打ち方をしますので、起こして曲げた長さより、垂直に鎚ち上げると高くなるということです。

                        同じ直径24cmの銅板からさらに絞り込んで仕上げるのが、片手鍋 深型4カップ用です。この場合は、口径が13cmまで小さくなって、高さは9cmに達します。何回も「鎚っては焼き鈍ます」工程を繰り返します。それだけに価格も上げたいところですが、見た目が小さくなるので、さてどうしようかとなります。

                        写真のつる鍋は、錫引き後の磨いた状態で、通常これからいぶし仕上げ(硫化仕上げ)を施します。プロの料理人のように一日何度も使っては洗うケースでは、この銅素地のままでお渡しする事もあります。

                        つる鍋 No.4147
                          口径18.6cm 内径17.3cm 高さ6.3cm 上端の縁下までの容量1.05L 重量739g
                          税別本体価格 ¥50,000  木蓋が付きます

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                        大きめの両手鍋・・・鎚ち絞る途中の状態

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                          両手鍋の絞り途中 

                          ふだんは作っている途中をお見せすることはありません。出来上がって、買われて、使われてこそ、道具や生活工芸品の見せ場です。機能的で「カッコイイ」こと。途中どんなにおもしろくても、苦労しても、使い手に向っては自慢も愚痴もナシです。この写真を掲載するのは、オーダーされる時にちょっと参考になるかなということで。

                          現在、遠方のお客様から大きめの水炊き・シャブシャブ鍋のオーダーを受けています。大きさや形を検討中で、メールで相談しています。これまで作っていない新しい形になりそうなので、もとになる銅板の大きさと仕上がり寸法の関係が、これまでのデータでは確定しません。写真は成形中の比較的大きな両手鍋の途中段階です。途中段階で計測してみて、新作の参考にします。写真左の状態で開口部直径が27cm、切り返し部分の内径が25cm、高さが7.5cmあります。この後、上部2cmを鎚ち絞って、焼き鈍し、硫酸で洗うと右の状態になります。

                          平な銅板からこの状態まで4〜5回、鎚ち絞っては焼き鈍しを繰り返しています。右の状態からあと2〜3回鎚ち絞って形を整え、仕上げ鎚ちになります。何度も繰り返し絞るのですが、かかる時間は最後の仕上げ鎚ちの方が長かったりもします。もちろん消費カロリーは多大ですので、お腹はすきますが・・・頭は使いません。仕上げ鎚ちでは、ゆがみを調整したり、予定の形と寸法にするため、多少は頭も使います。

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                          鍋のフォルム・・・目指す曲線について

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                            片手鍋深3カップの曲面

                            両手鍋、片手鍋、やかん、燗つけ・・・当たり前のことですが、それぞれに形は違います。用途や機能にそって大雑把な形を考えていきますが、最終的な曲面をどんな具合に仕上げるかについては、作家の好みが出てきます。木桶のように側面をまっすぐにするか、球に近い曲面にするか。強さをだすか、しなやかさを感じさせるか、色っぽく迫るか?

                            上の写真の左はあらかた成形が終った段階です。ここまで絞り込むには5〜6回焼き鈍しては打ち絞ります。鎚は横長。右が仕上がった状態です。左の状態から、鎚をかえて平に近いよく磨いた頭のもので、中心から上端まで、さらに折り返し上端から底に向って往復します。焼き鈍った状態をしっかり打ち締め、流れるような曲面を目指します。

                            中学校時代、ちょっと変わった数学の先生がいて、授業の始まりの度に何度も放物線を書かされました。4等分したわら半紙にx軸y軸を引き、始めのうちは指定された2次関数のグラフを書かせるのです。そのうち座標上に指定された3点をプロットし、その3点を通る放物線をフリーハンドで書く練習もさせられたような記憶があります。3点の両側で曲線がどんな風に延びるかは、連続的に変化する想像力とでも言いますか。曲線の美しさを求められていました。

                            底は平ですが、底から側面に移る部分は次第にr(アール=曲率半径)が小さくなり、立ち上がっていくにつれ再びr(アール)は大きくなっていきますが、上端まで直線になりきらない感じで仕上げます。円錐曲線? 円錐の表面をいろいろな平面で切り取った時に表れる曲線を想像します。

                            一つのフォルムの中に、必要以上にいくつもの曲線が有るのはうるさく感じます。蓋を乗せるためとか、水切れを良くするためとか、機能性から必要な変化をつける事はありますが、メインの曲線は一つか二つに絞り込みたいと思っています。

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                            5. 銅を鎚つ・・・錫引きと仕上げ

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                            錫引き
                            「銅を鎚つ──鍛造銅器とは」の項では、仕事の工程を紹介しています。1・2・3・の順番で古い記事から読んでいきますと、工程がわかります。 
                             
                             前回の「4.銅を鎚つ・・・銅板を鎚ち絞る」では、目指す形まで銅板を変形させる過程を紹介しました。あらかた打ち終わった銅器の状態は、まだ裏も表もデコボコです。ちょっとだけ丸みをおびた金鎚の表面を顔が映るぐらいに磨き、銅器の表側から仕上げ打ちをします。表側は自分の好みの曲面をめざし、裏側はデコボコや傷をとり滑らかに仕上がるようにうっていきます。上の写真では左上の部分が、仕上げ打ちの終った片手鍋の状態です。人間の眼や手は、小さなゆがみやデコボコを敏感に感じ取りますので、仕上げ打ちは全工程の中でも一番時間がかかり、緻密さも要求されます。工程は、写真左上から時計周りで進んで行きます。

                             写真右上の部分は、持ち手をつけるためのパイプを取り付け、錫引きにそなえて内側をきれいに磨いたところです。持ち手は通常右手で持つ位置につけますが、ご希望で左手用にもできます。

                             写真右下は、鍋の内側に錫引きを施したところです。銅のままですと、青い錆が出ることがあります。さびの発生防止と持ち手取り付け部分の水漏れ防止や補強のために、融かした錫をぬりつけます。錫の融点は約250度ですので、銅鍋は強火で250度以上に加熱するような調理法には不向きです。揚げ物や炒め物など、通常200度を超えることはまれですが、から煎りなどの際はご注意ください。長年使って錫がはげてきた場合は、錫のぬりなおしができます。

                             最後に、写真の左下は鍋の表側を硫化し、磨き上げた状態です。銅の表面を茶色くする、いぶし仕上げとも呼ばれる加工ですが、鍋を食卓にそのまま出して使っていただきたいので、ピカピカのピンク色よりも、渋い感じの方がいいかなと思っています。汚れも目立ちにくいので、手入れが簡単です。金属磨きやクレンザーで表側を磨くと、もとのサーモンピンク色になりますので、お好みで変えることも可能です。あとは、熱と水に強いコクタンの持ち手をつけると、片手鍋が仕上がります。

                            4. 銅を鎚つ・・・銅板を鎚ち絞る

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                               丸く切り出した銅板は、ガスの火で赤くなるまで熱します。「焼き鈍し」といいますが、銅は一度熱しますと、冷えても柔らかさが残ります。たたいたり曲げたりしますと硬くなりますが、鉄のように「熱いうちに鎚つ」必要はありません。前に掲載しました「1. 銅を鎚つ」の写真のように、手で持って作業ができます。
                               俗に、「打ち出しの銅鍋」と呼ばれますが、銅板を内側から外に向かって打ち出して立体にするのではありません。反対に、外から中側へむけて打ちへこましていく作業を、銅板の中心から同心円状に円周方向へ進めていきます。一度、中心から円周まで打ちますと、半径で1〜2cm絞りこまれます。さらに焼き鈍しては打ち絞る作業を何度もくりかえし、次第に深い立体になっていきます。
                               写真の右端のものは打ち絞りの途中、真ん中のものは円周まで打ち終わった状態で、そのあと火にかけて焼き鈍します。フライパンのような浅いものは比較的はやく成形できますが、やかんのように深く口径の小さなものは、焼き鈍しと打ち絞りの繰り返しがとても多くなります。

                              3. 銅を鎚つ・・・・・その素材

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                                 写真の右側は銅の板、左側は銅鍋を鎚つために丸く切り出したあとです。中央は銅や真鍮(黄銅)の丸棒、角棒、パイプで、鍋の持ち手やつるの材料です。
                                 銅を素材に選ぶ理由は、なんと言っても熱伝導が良いこと。火が当たるところだけではなく、鍋全体に熱が伝わり、内部の熱むらが少なく、弱い火でも早く・柔らかく・きれいに調理できます。
                                 銅は、鉄のように「熱いうちに鎚つ」必要はなく、赤く焼きなました後、冷えてから手で持って鎚つことができます。柔らかい曲線的な造形が可能で、食卓や生活の場でガラスや焼き物と合わせながら使いやすい道具を作ることができます。

                                2. 銅を鎚つ・・・・・作業のための道具

                                0
                                   
                                    鎚つ(うつ)・切る・削る・曲げる・留める・・・という、単純で原始的な作業のための道具。銅板や棒を鎚つための鉄の鎚と金床(鉄の塊)、やっとこや金切り鋏、鏨(たがね)、ドリル、糸鋸、コンパス、定規・・・いずれもシンプルなものばかりです。
                                   しかし数ある道具の中で、一番酷使されるのは両方の手ではないでしょうか。切り傷、擦り傷、打ち身、やけどが絶えませんが、これはまだまだ腕が悪いせいかもしれません。

                                  1.   銅を鎚つ・・・・・寺山光廣──鍛造銅器の世界

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                                     銅板を切り出し、赤く焼きなます。銅は冷えても柔らかく、金床にあてて中心から外へ少しずつ鎚ち絞り、またそれを繰り返す。
                                     思いやこだわりを鎚ちこむというのでもなく、しかし無心に手が動くという境地には遠く、迷いや雑念に揺れながら、それでもいつしか形ができあがっていく。
                                    「銅を鎚つ──鍛造銅器の世界」を紹介していきたいと思います。
                                       
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