いつ頃の制作でしょうか? やかんの修理は知恵の輪を解くような思考が必要。

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    櫻井様やかん修理

    江戸の職人仕事を受け継ぐ昭和の東京下町で作られたものでしょうか。形の個性と制作工程の工夫が伝わるやかんです。鍋と違い、やかんは用途が通常一つ、お湯を沸かすことに特化した道具ですが、その制作方法は逆に無数にあると言って良いでしょう。やかんの故障といえば、ほとんどが空焚きですが、制作方法の違いで修理できるかどうか、どんな工程で修理すればいいのか、きわめて判断が難しくなります。空焚きの場合は銅の本体と注ぎ口の接着箇所から水漏れすることが多く、その修理には錫の融点以上に加熱するため、一度修理にとりかかると後戻りが困難になります。いきおい、ひねり回しながら眺めて思案する時間が長くなります。

     

    このやかんも注ぎ口の取り付け部分の錫が融け落ちて隙間ができ、水漏れしています。その部分だけを細いバーナーで加熱して錫を流し込めないものだろうかと、極細炎のガスバーナーを探し、やっと使えそうなものが見つかりました。作業を始める段になってから、水を入れてみたところ、本体を完全に横倒ししても水が内部にかなり残ります。原因は空焚きで錫が融けたときに、注ぎ口側が重みで前倒しになって、下部が本体内部に入り込んだためです。一度、注ぎ口を本体から外して、位置を正してから接着する必要があります。注ぎ口側も本体の穴の方も切りっぱなしで、かろうじて噛んでいる状態を錫で接着しています。これをそのまま再現しても線で接着することになるので、注ぎ口側の根本の部分をぐるっと外側に1mmあまり折り曲げて、本体内壁と面で接着するように改造。私がやかんを作るときは、注ぎ口の根元の部分内側に薄い銅板をぐるっと回して2段構造にし、それを本体内側で折り曲げて、三次元で接着するように作ります。固定して錫を流し、水漏れ箇所は修復完了。熱処理で変色した部分をできるだけ目立たないように色染めと磨きで修理は終わりました。

     

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