科学でリスク評価・比較、「リスク管理は人間の都合で」を明確に。

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    15.7.10.浅間/アサガオ

    昨日は久しぶりに青空。写真は今年最初のアサガオと浅間山の煙です。「アサ」つながり?偶然です。今朝も12度。低温、日照不足、たぶん栄養不足でアサガオは小さく、花びらも裂けています。浅間山の煙、西側(左)から流れる雲と見分けがつきにくいぐらい、おとなしい噴煙です。この程度なら、噴火警戒レブル2の状態ではなくても、ふだんから見られます。特に湿度の高い気象条件では、火口からでる水蒸気が目立ちます。

    噴火警戒レベルは気象庁が設定します。本来は「科学的リスク評価」ですが、近年は立ち入り規制という「リスク管理」に踏み込んでいます。浅間山ではレベル2で立ち入り規制は火口から半径2kmですが、域内の一部の登山道は通行可とされています。今、話題になっている箱根山では、レベル3ですが立ち入り禁止は逆に小さく半径700mの楕円形です。この違いはどこから来るのでしょうか。気象庁の当該サイトを開くと、各火山の噴火警戒情報が地図入りで見られます。浅間山の地図をみれば、半径4kmに広げても住民や産業にほとんど影響がないことが判ります。一方の箱根山では、700m以上に広げると多くの住民を避難させ、多くの施設を閉鎖しなければならないことが明らかです。気象庁が発表する「必要な防災対応」は科学的リスク評価ではなく、人間の都合による「リスク管理」であることが判ります。

    なぜ、科学的観測機関であるはずの気象庁が、行政的措置である防災対応に踏み込むのでしょうか。法的な根拠があるのでしょうか。「規制」という「権限」には「責任」がともないます。規制を実効力のあるものにするためには、強制力(警察や消防による取り締まり等)が必要です。規制によって生じた損害に対する補償が必要なこともあります。気象庁にはそれがありません。災害対策基本法を見ると、気象庁を管轄する政府にも権限はなく、地方自治体のあると思われます。活動火山対策特別措置法 が適用される場合でも、第3条、第20条をみると、計画と体制の設定は地方自治体のあると思われます。原発事故の際にしらべましたが、原子力災害は別に原子力災害対策特別措置法により、国の権限が強化されています。

    浅間山では、規制を無視する登山者が「自己責任で」と主張するケーズがあましたが、自治体が法に基づいて規制していますので、登山者に対して強制力があります。場合によっては逮捕する事も可能でしょう。周辺自治体と気象庁による協議がふだんから行われています。一方、箱根山では周辺自治体は「風評被害」を恐れて規制には及び腰でした。気象庁も科学的リスク評価に基づかない、狭い範囲の規制を打ち出しています。発表する表現もあいまいでブレてきました。権限と責任の所在が明確ではなく、関係者間で日頃の協議が行われてこなかった事が推察できます。リスクを協議すること自体が風評被害を呼ぶと、地元商業から嫌われるのでしょう。

    リスク管理は、科学を無視してはできませんが、人間の都合によって決めているという事を、積極的に一般に理解してもらう事が必要ではないでしょうか。リスク管理には権限が必要ですし、コストがかかります。リスクとベネフィットを秤にかける必要もあります。このことは、時には「命と安全」は二の次にされるという事を理解しなければならないでしょう。小さな集落や個人は、この理解から自分自身でリスク管理を設定する事も求められます。人それぞれで、コストやベネフィットが異なりますので、リスク管理も異なってきます。避難によって生じる損害や新たなリスクは、ひと様々です。

    私の仕事場は900年ほど前に流れた火砕流の上にあります。1000年単位で1度の確率で起きる災害でしょう。浅間山には1万年単位で起きる山体崩壊のようなさらに大きな災害もあります。リスクの大きさは、確率と災害の大きさを掛け合わせて考えます。カルデラ破局噴火のような極めて大きな災害でも、起きる確率が極めて低ければ、リスク比較では小さくなります。大きな火砕流が起きる前には、一般的には前兆がありそうです。たぶん、命とささやかな財産ぐらいは逃げおおせるでしょう。しかし、避難所にするような公共施設や学校を置くのはいかがでしょうか。この点は、軽井沢でも検証が不十分です。

    行政によるリスク管理は「科学そのものではない」事を理解することが必要です。もとをたどって、科学的リスク評価を読み取らなければならないと思います。そのためには、科学の側がいきなりリスク管理に踏み込む前に、一般に向けてリスク評価(大きさ)とその大きさを理解しやすくするリスク比較を平易な言葉で発信する事です。また、研究者ではなくても周囲で科学を理解する仲介者(メディアやNPOや個人)が解説する事も重要です。

    このブログとしては、ちょっと難しいテーマでした。

     
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    • 2015/07/12 9:08 AM
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