銅パイプから作る花入れ、酒器など

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    パイプから作る

    銅鍋など、通常は平らな銅板を鎚と金床で鎚ち絞って立体を作ります。平面から立体になるのですから、背が高く深い形にするほど、何度も焼き鈍して鎚ち絞る工程を繰り返すことになります。それに較べると、銅のパイプを切って底をつけるだけで立体にするのは「ずるい」気もします。それだけで、機能的にはほとんど充分なのですが、いくらなんでも楽しくはありません。生け花やお酒など、とくに趣味の領域ですから、使えればいいというものではないでしょう。酔うだけならエタノールを水で割ったようなものでもいいのですが、幻にしても心地よい幻に遊びたいのが酒飲みの心。余計な作業を施します。

    作品の上部が白いのは、銀ロウを最初に融かして表面に塗っているためです。5〜600度で融けますので、銅パイプ全体を熱して塗り付けていきます。その温度になると、銅の素地は焼きなまされて柔らかくなりますので、鎚ち目をつけたり、形を変化させる前に行います。酒器の内側が白いのは錫で、錫は250度ほどで融けますから銅は焼きなまされません。工程の最後の方で錫引きします。錫を塗った後ではもう、焼きなますことが出来ませんし、銅表面の酸化膜や汚れを酸で洗い落とすこともできません。

    「絶滅危惧職」と自嘲するほどマイナーな仕事ですから、この仕事のために銅のパイプが売られているなんてことはありえません。いろんな使い道があるでしょうが、水道管や給湯パイプ、燃料パイプなどが本来の用途でしょう。建築関係の素材の寸法は、mm・m の他に、尺・寸やインチなどが混在していて、パイプの外径や肉厚など、均等な間隔で自由に手に入るわけではありません。外径が50mm ではなく50.8mm だったりします。仕入れるときは4mか5mの長さのものを輸送の都合で半分に切ってもらって購入しますが、いくつかそれで作っているうちに、素材の寸法を変更することもあって、いまや仕事場の片隅にこれからの一生では使い切れないほどのパイプが積んであります。それでも、新しい試作品のために1本4〜5mのパイプを買い足すこともあります。

    パイプから作る作品は一般的に、鎚ち絞って作るものの半値ぐらいです。値段はほぼ、作るのにかかる手間に比例しますので、作業量が推測できると思います。茶筒ぐらいの深さでしたら、鎚ち絞って作ることも出来ますが、パイプから作る場合の倍ぐらいの価格になるでしょう。花入れのように深くなるとかなり時間がかかりそうです。価格は4〜5倍になって、その割には仕上がりにそれほどの差を感じないでしょう。今のところ敬遠しています。
     
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