ちょっとした冒険・・・新作 靴べら No.4136

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    靴べらNo.4136 

    今回は何やら変わったものが登場です。新作と言うより意外作でしょうか。見てのとおり,靴べら。去年、デパートの展示で「銀流し角皿」をお買い上げ下さったお客様からのオーダーです。

    オーダーの際のご希望は、No.4113銀流し花入れのイメージで、プレゼントに使えるものをという事でした。自分から新作に取り組む場合、機能やデザインは新しくても工程についてはある程度技法や段取りが想定されています。思いもよらないモノは思いつかないもの。手堅いのですが、意外性に乏しくなります。鍋作りに靴ベラを注文し、それを受けるということは、双方にとって冒険です。どうやって作ろうかというところから出発。

    まず、花入れと違って強度が求められます。あまり分厚くすると使い心地が悪そうです。そのため、基本素材は銅より強い真鍮の方が良いと判断。最初に幅広の真鍮平角板50cmを、熱しながら鎚ち広げようとしましたが、途中であっさり割れて飛び散る始末。真鍮は銅の合金で、混ぜる成分の割合によって、曲げたり延ばしたりできるタイプと、鋳造や削り出しに使うタイプがあります。後者はあまり鎚つと陶器のように割れます。平角板は使えませんでした。

    次に、2mm厚の真鍮板を切り出してみました。これは自由に曲げられる(と言っても銅よりは硬い)のですが、握りの部分まで同じ厚さでは、なんとなくペラペラした感じになりそうです。市販の安いプラスティック製靴べらの素材を真鍮に代えただけという印象です。

    結局一番時間がかかりそうな方法ですが、真鍮の丸棒をひたすら鎚って拡げることにしました。熱しながら鎚つので、暑い夏は避けたい仕事ですが、めっきり冷え込んで氷点下の日もありますので、むしろ快適。コークスと鍛造機を使う鉄の作家ならもっと早くできるのでしょうが、プロパンガスと手槌の私にはそれなりに時間がかかります。

    握りの部分には、銅線を巻いて錫を流してとめ、さらに表にざらざらな鎚目を鎚ち、研ぎだして銅と錫を対比させてみました。飾りとしては地味ですが、滑りにくく握りやすいという機能性は充分でしょう。銀を流すと全体が鈍ってしまうのと、握る部分なのですぐに黒ずみそうですので、錫を選びました。

    かがまなくても使えるように、全長55cmほど。重さは約400g。
    付属の吊り台はちょっと不安定ですので、可能ならば壁に小さな方のフックで下げた方が良さそうです。

    JUGEMテーマ:アート・デザイン



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