5. 銅を鎚つ・・・錫引きと仕上げ

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錫引き
「銅を鎚つ──鍛造銅器とは」の項では、仕事の工程を紹介しています。1・2・3・の順番で古い記事から読んでいきますと、工程がわかります。 
 
 前回の「4.銅を鎚つ・・・銅板を鎚ち絞る」では、目指す形まで銅板を変形させる過程を紹介しました。あらかた打ち終わった銅器の状態は、まだ裏も表もデコボコです。ちょっとだけ丸みをおびた金鎚の表面を顔が映るぐらいに磨き、銅器の表側から仕上げ打ちをします。表側は自分の好みの曲面をめざし、裏側はデコボコや傷をとり滑らかに仕上がるようにうっていきます。上の写真では左上の部分が、仕上げ打ちの終った片手鍋の状態です。人間の眼や手は、小さなゆがみやデコボコを敏感に感じ取りますので、仕上げ打ちは全工程の中でも一番時間がかかり、緻密さも要求されます。工程は、写真左上から時計周りで進んで行きます。

 写真右上の部分は、持ち手をつけるためのパイプを取り付け、錫引きにそなえて内側をきれいに磨いたところです。持ち手は通常右手で持つ位置につけますが、ご希望で左手用にもできます。

 写真右下は、鍋の内側に錫引きを施したところです。銅のままですと、青い錆が出ることがあります。さびの発生防止と持ち手取り付け部分の水漏れ防止や補強のために、融かした錫をぬりつけます。錫の融点は約250度ですので、銅鍋は強火で250度以上に加熱するような調理法には不向きです。揚げ物や炒め物など、通常200度を超えることはまれですが、から煎りなどの際はご注意ください。長年使って錫がはげてきた場合は、錫のぬりなおしができます。

 最後に、写真の左下は鍋の表側を硫化し、磨き上げた状態です。銅の表面を茶色くする、いぶし仕上げとも呼ばれる加工ですが、鍋を食卓にそのまま出して使っていただきたいので、ピカピカのピンク色よりも、渋い感じの方がいいかなと思っています。汚れも目立ちにくいので、手入れが簡単です。金属磨きやクレンザーで表側を磨くと、もとのサーモンピンク色になりますので、お好みで変えることも可能です。あとは、熱と水に強いコクタンの持ち手をつけると、片手鍋が仕上がります。

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