渋い色彩の若いヤマボウシと、見上げれば派手なカエデの紅葉 想定外の時間がかかった片手鍋修理
11月に入って先月と気温が逆転している。氷点下にまで下がっていた最低気温も、この二日間は4度前後。紅葉の盛りを迎えて、ちょっと気が緩む景色。滅多に上を向いて歩くことがないので、カエデの紅葉にはあまり目がいかなかったが、一度ぐらいはと観光客と同じ視線で見上げて見る。遠目には整って見えますが、一つ一つの葉は結構ぼろぼろだったり、最後の姿にふさわしいのかもしれません。子どもの頃はカエデと呼ばず、もみぢと言っていた気がします。葉が赤や黄色くなる事をもみづと言った古語からきているようなので、もみぢはカエデに限らなかったのでしょう。
仕事場の窓の外にはまだ低く花もつかないヤマボウシが葉の色を変え始めている。一斉に染まることなく、緑から黄色、オレンジ色、赤、紫、黒紫色まで密度の濃い色がたくさん詰まっている。まだ若いのに渋い色合い。人生、こうでなくっちゃなん、なんて勝手な妄想ですが・・・。
酒器の注文が詰まっている中で、月末納期ギリギリに仕上げる予定だった片手鍋銅蓋。蓋はつまみを取り外して歪みや凹みを鎚ち直し、つまみは接着部分を広げて取り付け、錫引きも順調。問題の本体はやはり錫ののりが悪く、5回以上錫引き。こんなところかなと思って硫化仕上げ、磨き。最後の持ち手取り付けと釘どめの釘打ちの衝撃で持ち手を差し込んだパイプ状金具が外れてしまった。持ち手はしっかり打ち込んであったので取り外せない。本体との接着面を完全に本体から外して、接着面を強化して磨き、リベットで留め直し、またまた錫引き3回ほど。接着面には下に垂れるほど錫を流し込む。
予想していた時間の3倍かかってしまい、発送が1日遅れて、納期を1日オーバー。修理を受注した時点で修理代を見積もりし、お客様はデパートに支払済。そうでなくても見積もり以上に後から請求することはない。そもそも、こちらの予想が甘かったのだ。想定外の事態はそれほど頻繁におきないので、そのリスクを見積もりに算定することは難しい。想定外の事態が起きること自体、経験不足や技量不足とも言える。
修理に限らず、新作でも予定より50%余計に手間取ることがある。時間がかかって苦労して仕上げた結果が特別良いということなんてない。苦労するということは、段取りが悪いか、腕が悪いかであって、苦労を自慢して価格を上げるなんてことではない。むしろ恥ずかしいこと、次はもっとスッキリ仕上げるようと反省材料です。
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- 2023.11.02 Thursday
- 取り扱い、修理など Treatment & Repair 关于铜锅的使用和保养说明
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