独特の風貌ながら、破壊力のある大顎を持つミヤマクワガタ        両手鍋 丸縁タイプの修理

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    ミヤマクワガタ

     

    仕事場に大物の来訪です。エラが張っているというか、特徴のある頭部が力強い印象で、怪獣好きの子供達には人気があるらしい。出っ張った部分の内部に筋肉が発達して、あごで挟む力は他のクワガタより強く、指を挟まれると出血することもあるという。喧嘩するとカブトムシの体に穴をあけるそうです。

     

    他のクワガタやカブトムシにくらべて、昼間も行動することが多く、見つけやすいと言われていますが、子供の頃の東京ではノコギリクワガタの方が圧倒的に多かった気がします。60年以上前のことですので、自然環境も随分変わっていて、棲息する昆虫も異なってきているのでしょうか。しかし、小型のコクワガタであっても、カブトムシの仲間達を見つけた時のワクワク感は変わるものではなく、いい歳とっても残っています。昆虫は一般に他の動物にくらべて、体の大きさの割に足が細く、大きな体で木の幹にしがみついて他の甲虫と喧嘩するのに、こんな足が細くていいのだろうかと余計な心配。繁殖相手の確保のために喧嘩する場合は同じ種のオス同士でしょうが、喧嘩の原因が樹液が出る木の場所取りなので、競争相手はいろんな種に。スズメバチなども参加する異種間格闘技になります。

     

    半田/柳澤両手鍋修理

    こちらも前の記事と同じお客様から修理を依頼されたもので、随分前に作った両手鍋です。たっぷりと安定感のある道具ですので、修理で新品の状態に戻り、台所の即戦力復帰です。新しい木蓋をつけて納めました。

     

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    繊細で美しい柄のサカハチチョウ   つる鍋の修理

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      サカハチチョウ春型雌

      作業場の中で死んでいた美しい蝶。左側の写真で見える翅は、本来たたまれた時は内側になります。タテハの仲間は、私にはなかなか識別できませんが、右の写真で見える外側の細かい柄に特徴があり、図鑑で調べるのは容易でした。サカハチチョウ春型のメスです。夏型は全体に濃いこげ茶色に、八の字を逆さまにした白く太い線が目立ち、名前の由来だとか。細かい柄と微妙な色合いには不似合いな、ちょっとガサツなネーミングですね。

       

      この仲間は、山歩きしていると汗を吸いに腕に止まったり、獣のフンに群がったり。時には獣の死体にも寄ってきます。そんな習性からでしょうが、昔から蝶は不吉なものとされることがあり、いまも蝶に対して拒絶反応を示す人がかなりいます。私の世代では、小学校の夏休みの宿題で昆虫採集というのが一番ポピュラーでしたので、年取ってからも昆虫少年だったことを語る人はたくさんいます。標本箱に虫ピンで刺されて並ぶ昆虫。虫ピンという名前も今は使われないかもしれません。頭のない待ち針と言っても、待ち針さえ洋服屋でズボンの裾かがりをする時ぐらいしか見かけなくなりました。小動物であっても、昆虫以外の動物を針で刺して標本箱に並べるということはあまりないでしょう。死んで標本にされてもなおその美しさが保たれることが、小学生から専門家までが感じる動機に違いありません。子供の頃、腐らないように腹部に防虫剤を注射する時のかすかな心の痛み。

       

      生きているものを捉えることは現在あまり推奨されず、虫取り少年達も捕まえて観察した後は逃がしたり、餌を与えて飼育したりが夏休みの自由研究の中心。自然が豊富と思われる信州の山間部にいても、近年は蝶の姿がとても少なく感じられます。もちろん子供達が捕まえて標本にするからではなく、むやみに使われる農薬が一番の原因でしょう。ヨーロッパに比べて、日本の農薬規制はゆるく、TPPや貿易協定でさらにその弊害は大きくなりそうです。

       

      半田/柳澤修理つる鍋

      昨年末から依頼されていた鍋の修理ですが、展示会などが立て込んでいて、仕上げられたのはこの春。かなり以前に作ったつる鍋で、当時はまだつるが銅製。現在の真鍮製に比べると素材が柔らかいために太くしてあります。よく言えば素朴で力強い印象。修理後の写真は撮り忘れたのか見つかりませんが、もちろん綺麗に復活してお客様の手元の戻っています。

       

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      キジやクマの目撃が増えたのは、人間が引きこもっていたせいでしょうか?     新品同様に戻った両手鍋の修理

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        良い出来の写真ではありませんが、かなり遠方を歩く雄のキジ。春先から、例年になくたくさんのキジを見かけます。繁殖期を前に縄張りとメスを呼ぶ元気な声を聞くだけではなく、胸を張って人の前を横切って行きます。数が多く感じていましたが、もちろんカウント調査をしたわけではありません。秋の狩猟期間はとくにそうですが、この季節以外では人目に触れないように用心しているキジのオスも、春は自分の存在を力一杯アピールしています。あちこちで聞こえる鳴き声の数だけ実際にいると考えられます。

         

        この春は、キジだけではなくクマの出没が多いような気がします。町内にいるクマの数はほぼカウントされていますので、目撃例が増えたということでしょう。町内でも森林地帯に接している地域に住む私にとって、クマは以前から身近にいる野生動物です。夜の間に、仕事場の周辺を徘徊していた形跡を感じることは度々ですが、実際に遭遇することはあまり多くはありません。彼らの方から人間の気配を感じて避けているのでしょう。特に私は野生動物から警戒される何かがあるようです。森の中で大きめの木の下を通り過ぎた後、後方でどさっと何かが落ちる音で振り向くと、クマが逃げて行ったことがあります。きっと木の上で怖い思いをしながら人間が通り過ぎるのを待って飛び降りたのでしょう。本来、人間を避ける臆病なクマたちが今年はどうして目撃例が多いのか? クマが増えたのでなければ、考えられるのは逆に人間が減ったということ。クマの生息地を歩く人間が減れば、彼らは安心して身を晒しながら行動します。冬眠から醒めた頃、逆に人間は自粛自粛で引きこもり巣篭もり始め、クマはのびのびと行動できた。自粛解除で人間が増えて、遭遇する確率が高まっているのでしょう。チェルノブイリや福島原発事故で人間が減った地域では、野生動物が増えていますが、それがあちこちで一時的に起きた思われます。

         

        両手鍋の写真は、5月下旬に修理が終わったものです。強度の空焚きですが、大事に使われていたらしく、他には問題点がありませんでした。ご覧の通り新品同様、そのまま展示会に出してもおかしくない仕上がりで、お客様のところへ再出発。家で食事をする割合が増えていますので、きっと活躍していることでしょう。

         

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        サクラソウとシロバナエンレイソウ    修理の依頼で垣間見る製作者の考え方と技法

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          サクラソウ・シロバナエンレイソウサクラソウは桜の花が終わって八重桜の頃にひっそりと咲き始めます。ぼってりと重たげな八重桜にはとてもかないませんと言っているようで、上を向いて歩いている人に自己主張しているようには見えません。手前のシロバナエンレイソウに比べても、その堂々たる葉には負けています。日本の代表的な野の花ですが、大群落と言えるようなところは、大きな川の河川敷などに限られている、というのが一般的な解説。しかし、信州の山野では、どこにでも見られます。特に、軽井沢では「町の花」とされているほど、あちらこちらに点々と広く分布しています。大きな群落として、人の手で保護されているものもありますが、種でも根株でも増えるので、庭の片隅で増やしている民家や別荘がたくさん。

           

          江戸時代からでしょうか、サクラソウの花の色や形の変化を楽しむことが流行り、様々な品種が作られてきました。都会の人が自慢の品種を鉢植えで競い合うのはいいのですが、野生のサクラソウがある田舎にまで持ち込まれると、在来のものと交雑して元々の遺伝子が汚染されることになります。草花を楽しむのも、それぞれの場所をわきまえずに、あまり欲張るのはまずいかな、ということでしょう。
           

          渡辺明美様片手鍋修理後COVID-19が流行し、Stay Home が強調されるようになってから、修理の依頼が増えています。それまではゆっくり炊事を楽しんだり、道具を見直したりする余裕もなく働き続けてきたのかもしれません。自分が作ったものの他に、ちょっと古い時代のものや、外国で作られたものもあります。直す人が見つからないので依頼されますが、それぞれ作った人やメーカーの考え方や製法の違いが表れていて、参考になることもいろいろあります。

           

          この片手鍋の本体部分はたぶん、ろくろ絞りで槌目は飾りに打ってある程度ですが、持ち手はパイプ状に丸めた銅板に、先端部に丸い銅板をはめてろう付けし、さらに吊り下げるための穴を上下に貫通させてから細いパイプを通してろう付けし、最後に本体にろう付けしているようです。持ち手の方が鍋の本体部分より手をかけて作っています。その組み立て工程だけ、長いキャリアの職人さんが担当しているのかも、と想像が膨らみます。「オヌシモ ヨクヤルノ〜〜!」です。

           

           

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          春の霞は脳内にまで侵入   多機能片手鍋の修理

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            浅間山20200416今年の春は行ったり来たりを繰り返しています。花も開花の順番が狂い、一度咲き始めたコブシは氷点下5度の低温で茶色く変わり、急激に暖かくなった途端、オオヤマザクラの開花とともに仕切り直しの一斉開花。その前に、カラマツの林はもやもやっと新芽が出ています。

             

            夢か現か、全てが春霞をとおしてぼんやりとした印象。「春宵一刻値千金」なんて余裕もなく、絶えず寝不足のぼんやり頭。脳内霞如一刻夢。

             

            古賀片手鍋修理

            今年はなぜか修理の依頼が多い。Stay Home のせいでしょうか。普段は忙しさにまぎれて手をつけられないでいたことに目がいくのかもしれません。COVID-19で暮らしや生き方を再考することになっているのかもしれません。どちらにしても、不幸中の幸いというか、それはそれで良い影響ですね。写真は、かなり前に作った4カップ用の片手鍋。今回は修理に戻ってきませんでしたが、銅蓋がついています。蓋つきで、さらに弧状の持ち手や本体の折り返しなど、いろいろ仕掛けが多く、毎日便利に使い込まれてきたようです。最近作っている片手鍋はシンプルな形状が中心ですが、盛りだくさんなものも、使う人の性格に合えば良い働きをするようです。

             

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            使い込まれたフランス製の片手鍋修理。なかなかの名品でした。

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              ヒメオドリコソウ冬越し先々週はこの冬の最低気温−13度まで下がりましたが、先週は逆に凍った地面がゆるむほどの暖かさ。日当たりの良い石垣の隙間に生える植物たちは、このまま冬を越して春の成長が見られるのでしょうか。写真はヒメオドリコソウ。枯葉と紅葉した葉と緑鮮やかな新芽が共存しています。

               

              先月下旬の銀座三越でもすでに話題になっていましたが、中国武漢における新型肺炎対策の遅れが、現在は同じことが日本に対しても言える状態になってきました。昔のように交通手段が限られてスピードも量も少なかった時代の「水際対策」が、今も可能だとした姿勢に問題がありそうです。遠からず日本も、新型肺炎流行地域として、他国から渡航制限の対象とされるのではないでしょうか。
               

              杉田様片手鍋修理

              昨日、修理が終わったフランス製の片手鍋。大きなメーカーの製品のようですが、構造はしっかりしていて、要所は手で加工したと思われる良品です。媚びのないすっきりした形もいいですね。地金も厚いのですが、あちことに凹みがありました。底を重点的に、側面の立ち上がり部分や上縁、持ち手も鍛ち締めて形を整えてから錫引き。もともとは錫引きしていない製品ですが、日本では厚労省の規定で銀か錫でカバーすることが必要とされています。最後はしっかり磨き上げて送り出しました。

               

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              いつ頃の制作でしょうか? やかんの修理は知恵の輪を解くような思考が必要。

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                櫻井様やかん修理

                江戸の職人仕事を受け継ぐ昭和の東京下町で作られたものでしょうか。形の個性と制作工程の工夫が伝わるやかんです。鍋と違い、やかんは用途が通常一つ、お湯を沸かすことに特化した道具ですが、その制作方法は逆に無数にあると言って良いでしょう。やかんの故障といえば、ほとんどが空焚きですが、制作方法の違いで修理できるかどうか、どんな工程で修理すればいいのか、きわめて判断が難しくなります。空焚きの場合は銅の本体と注ぎ口の接着箇所から水漏れすることが多く、その修理には錫の融点以上に加熱するため、一度修理にとりかかると後戻りが困難になります。いきおい、ひねり回しながら眺めて思案する時間が長くなります。

                 

                このやかんも注ぎ口の取り付け部分の錫が融け落ちて隙間ができ、水漏れしています。その部分だけを細いバーナーで加熱して錫を流し込めないものだろうかと、極細炎のガスバーナーを探し、やっと使えそうなものが見つかりました。作業を始める段になってから、水を入れてみたところ、本体を完全に横倒ししても水が内部にかなり残ります。原因は空焚きで錫が融けたときに、注ぎ口側が重みで前倒しになって、下部が本体内部に入り込んだためです。一度、注ぎ口を本体から外して、位置を正してから接着する必要があります。注ぎ口側も本体の穴の方も切りっぱなしで、かろうじて噛んでいる状態を錫で接着しています。これをそのまま再現しても線で接着することになるので、注ぎ口側の根本の部分をぐるっと外側に1mmあまり折り曲げて、本体内壁と面で接着するように改造。私がやかんを作るときは、注ぎ口の根元の部分内側に薄い銅板をぐるっと回して2段構造にし、それを本体内側で折り曲げて、三次元で接着するように作ります。固定して錫を流し、水漏れ箇所は修復完了。熱処理で変色した部分をできるだけ目立たないように色染めと磨きで修理は終わりました。

                 

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                昔の軽便鉄道跡に咲く、逞しいコウリンタンポポ。 小振りの片手鍋修理。

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                  コウリンタンポポ雨の合間をぬって軽井沢の奥地、長日向に残る草軽鉄道の跡を見にゆく。廃線になってすでに60年。線路を剥がした後、残っていた犬釘を拾ったのは多分12歳ぐらいだったと思う。いわゆる軽便鉄道ですが、標高1000mよりはるか上を走る高原列車、草津へ湯治に行く人や登山客、奥地の別荘客の買い物、森林管理、療養、硫黄の積み出し・・・まさに何でもこなす鉄路でした。今、残っていれば素晴らしいドル箱観光施設になったか、あるいは赤字で地元に多大な負担を負わせただろうか。

                   

                  林道として残る軌道敷周辺に咲くコウリンタンポポの花です。花の形がタンポポに似ていなくはないが、次々順番に咲くであろう蕾の逞しさは、一つ咲いたら後は毛玉のようなタネになって風に吹かれて飛んでいくタンポポとは、まるで風情が異なります。外来種で、場所によっては一面に咲くと言うが、美しい光景でしょう。草軽鉄道が多くの場面に登場する戦後すぐのカラー映画「カルメン故郷へ帰る」の高峰秀子もたくましかった。

                   

                  二井田様片手鍋修理前後2ヶ月ほど前に預かっていた片手鍋の修理です。印象は私の作っている片手鍋中深タイプによく似ています。注ぎ口は両側。強度の空焚きで全体は柔らかく焼き鈍って、持ち手は内部で炭化しています。全面、しっかりと鍛ち締めなければ、強度的にも持ちませんし、持ち手を打ち込むだけで変形してしまいます。なるべく元の形に鍛つのが修理の基本ですが、注ぎ口の折れ曲がりが強いところをいくらか外に出しました。底から側面への立ち上がりに角があったのですが、柔らかく鈍っているその部分をもう一度、角を立てるように鍛つと、角の地金が薄くなって、場合によっては切れる可能性がありますので、丸く滑らかな立ち上がりに変更しました。その方が、熱の伝わりがよく、洗いやすくなります。持ち手は黒檀。この後、お客様のご希望で吊り金具をつけました。

                  修理の仕事は体調が整っていて、雑用が飛び込まない時に行います。新作に比べて先の工程が読めないこともあり、神経を使うことが多く、しかも修理代の高さを考えると、お客様に納得いただける仕上がりでなければと。新作は高くても、最初から実物を見て納得の上で購入されますので、オーダーや修理はそれ以上に気を使います。

                   

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                  薄化粧の浅間山 氷点下10度の朝とインディアン・サマー  腐食の進んだ片手鍋修理

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                    浅間薄化粧2018

                    まだ薄化粧ですが、やっと冬らしい浅間山の全景。真南からですので、北からみた全面真っ白の浅間山とはかなり趣が異なります。里でも2cmほど積もった雪はすぐに融けて、冷たい西風がアシを右に傾けています。雪が融けた後はこの冬一番の冷え込みで、氷点下10度の朝。ところが日が昇ると気温はぐんぐん上昇し、まさに小春日和。昔、英語ではインディアン・サマーと習いましたが、同名の曲のようにのんびりとした気持ちで日向ぼっこをしたくなる一日でした。

                     

                    根本知子/片手鍋修理2018

                    一週間ぶりの記事は、またまた片手鍋の修理です。今年最後の修理で、ちょっと手こずりました。内部、特に底の中央でかなり腐食すが進み、地金がえぐれています。他にもかなり多数の腐食があり、さてどうしましょうか? とりあえず、徹底的にクリーニング。えぐれた穴に残る汚れは、極小のリューター・ビットでえぐり出し、穴がいくらかでも均されるように、全体を鍛ち直します。穴の部分がなるべくふさがるように、たっぷりと錫引き。これまで同様に使っても問題がない程度には修理できましたが、今後、少し早めに錫引き修理をした方が良さそうです。最悪、穴があいて漏れるようになっても、塞ぐ方法を試してみます。

                     


                    残花2種  銅蓋付き片手鍋、重傷の空焚き修理

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                      サルビア、ヒメジョオン残花前回の記事タイトルに「三温四寒」と書きましたが、暖かい日が4〜5日続いた気がします。一昨日あたりから冷え込み、昨日・今日はマイナス5度前後。いつ雪が降ってもおかしくない気温です。タイヤ交換の時期、周囲の自然もすっかり冬支度です。

                       

                      石垣に咲く左の赤い花は2〜3週間前の写真で、今はもう枯れてしまいました。こぼれ種から生えた小さなサルビアが、やっと花をつけた様子。種が熟すまでには到らなかったでしょう。右は、今も元気なヒメジョオン。茶色く枯れた茎の下から新しく芽吹いて、小さな茎の上に小さな花。蕾もありますので、まだしばらく頑張る気のようです。

                       

                      長峰泰子/片手鍋修理

                      一ヶ月以上前に受けた片手鍋の修理。この浅型3カップ用片手鍋、お客様のご希望で注ぎ口を両側につけ、銅蓋を揃え、持ち手を丸い形の方に。とても使いやすい道具に仕上がり、使用頻度も高かったのでしょう。2度修理に持ち込まれて、今回は3回目の修理です。強度の空焚きで鍋本体側は柔らかく焼き鈍り、持ち手は焼けこげています。徹底的にクリーニング後、本体は全面的に鍛ち直し。形を整えながらしっかり硬く鍛ち締めていきます。その後に、鍛ち直す必要がなかった蓋とともに錫引き。新品の錫引きとちがって、修理の錫引きは困難なことが多く、今回も3回は塗り重ねました。コクタンの原木から持ち手を削りだして取り付け。なんとなく、新品のときよりちょっと良い姿になった気がします。

                      全面鍛ち直しが必要な場合の修理代金新品価格の3割前後。持ち手の新調は¥3,000~3,500 です。今回は蓋の鍛ち直しを含みませんので、その分安くし上がりました。

                       


                      月がわりの夜は氷点下2度の冷え込み  修理に戻って来た銅蓋付きの片手鍋2点

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                        銀座のギャラリー江 二人展も終わり、今日から11月。10月から11月に移る最後の夜は、氷点下2度。霜月の始めにふさわしい寒い夜でした。紅葉もどんどん進んでいます。いつもなら、最後に色が変わるカラマツの林が、今年はカエデの紅葉と競うように黄変。夜明けの陽光を受けていい感じです。

                         

                        手前は、仕事場のある大日向地区の教会。併設されていた保育園ともども、中国から引き上げて浅間山麓の荒野に開拓農家として移住して来た人々の、支えとなった教会です。今はすでに宗教活動は町内の他に移り、保育園も閉鎖していますが、何か他の活動に利用する計画もあるようです。

                         

                        ギャラリー江での展示はすでに20年。だいぶ前にお買い上げいただいたお客様から、修理に依頼も会期中に入ってきます。今回は偶然、同じような片手鍋2点。浅い片手鍋には通常、銅蓋はつけないのですが、お客様のご希望で2点とも蓋付き。

                         

                        左の方は口を両方に付けた、4カップ用。右は右手持ちの3カップ用です。左は強い空焚きで、全体が柔らかくなるほど焼き鈍り、本体の打直しが必要な状態。もちろん、強いコクタンの手も焼けて落ちています。

                         

                        右の方は軽症。長年の使用で持ち手の基部だけがこげてはずれてしまいました。錫引きは無事なので、クリーニングと持ち手を新調します。

                         

                        打直しが必要な場合は、現在の価格の3割程度。クリーニングだけなら1割。持ち手は、形によりますが、3,000〜3,500円です。

                         

                        愛用していた道具が、壊れてしまう失敗はなかなかショッキングで、がっかりして捨ててしまう方も多いのですが、よく使う愛着のあるものであれば、修理をお考え下さい。気が引けて・・・と言われることもありますが、作った者としては修理しても使い続けたいと思っていただくのは嬉しい事です。どうぞ、お気軽にご相談下さい。

                         

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                        ヒメジョオンは「姫女菀」で、長年の勘違い修正  20年前のフライパン大改造  

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                          ヒメジョオンとモンシロチョウまたまたピンぼけ写真ですみません。昆虫写真というのはかなり特殊なジャンルで、仕事の合間にちょっと一枚、というには向いていないようです。腕が悪いだけでしょうが。まあ、ありきたりのモンシロチョウですので、主役はヒメジョオンと言いたいところですが、そちらもピンぼけ。シャッタースピードを速めたために、焦点深度が浅すぎたようです。

                           

                          春先のハルジオンが終わってから咲くヒメジョオンは秋まで咲き続けます。草刈りで刈られたあとも、再び生えてささやかに花をつけています。「姫女菀」書くと、なにやら艶かしい。健康美溢れる女子学生の園か、はたまた色気溢れる伏魔殿か? これは「姫女苑」と書くものとばかり勘違いしていたためです。「女菀」は中国産の野草をさす言葉だそうです。もう一つ勘違いですが、良く似たハルジオンは「春紫菀」で「春女菀」ではない。それぞれ名前の由来が異なるのですが、実際の植物はひじょうに似ています。

                           

                          一月前から依頼されていたフライパンの修理を仕上げました。20年前の作品です。空焚きによる焼き鈍りと歪み、錫のはげ落ちといくらか銅素地の腐食だけなら通常の修理ですが、全体を軽くしてほしいことと、長い持ち手の反対側にある弧状の持ち手をはずしてほしいという依頼で、修理というよりは改造です。

                          1993フライパン改造

                          本体は予想していたよりかなり焼き鈍って柔らかく、全体を鍛ち直す必要があります。持ち手の改造がありますので、両方の持ち手を取り外してから、クリーニング。こびりつきを落とすだけではなく、持ち手と本体の間に流し込んだ錫を削り落とします。その後に全体を打ち直し。硬く鍛ち締めてから、弧状の持ち手をリベットでとめていた穴4つを銅丸棒を鍛って塞ぎます。写真右下は、かすかに判る穴を埋めた跡。

                          持ち手3種軽くというご希望ですので、長い持ち手をもともとついていたものより2段階細い真鍮丸棒で鍛造しましたが、取り付けてみると、大きめの本体の重さに耐えられず、振っているうちに本体との角度が下がってしまいます。もともとの手(右)は12mm銅丸棒、8mm真鍮丸棒では(左)細すぎました。再度、取り外して、10mm真鍮丸棒で鍛ち直し。もとから空いている4つの穴に合わせて持ち手を調整して取り付け。あとは通常の錫引きといぶし仕上げです。仕上がりは250gほど軽くなりました。

                           

                          これほどの改造ははじめての経験です。手間から考えると、新しく作った方がかなり早い。しかも、ひとつ間違えると新しい持ち手が本体にフィットしないリスクもあります。ビジネスとしてはまったく無謀な仕事ですが、そんな作業こそが自分の技術を高めることは確かです。

                           

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                          秋雨前線?の南下 複雑な天気図  水漏れする酒器のの修理

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                            2018082603時天気図今朝3時の天気図です。台風は消えましたが、実に複雑。はっきりしている事は、東北地方に南下して来た前線(秋雨前線?)がかかっていて、北陸から茨城県を境に、南西側は晴れ、北東側は雨。明日はもう少し前線が南下して、長野県も雨になりそうですが、私の知識程度ではそれから先のことはよくわかりません。

                             

                            昨日は最高気温が29度、最低気温が20度でしたので、まあこの時期としては普通でしょう。秋風が吹いて、気温よりは過ごしやすかった気がします。月に群雲や雲間に一瞬の夕陽。今朝はすかっとした夜明けでした。

                            朝/夕

                            昨日修理納品した酒器の大。お店で長年酷使され、歪みが数カ所とかなりの汚れ、銀流し部分の黒変が見られます。底の歪みは落としたらしく、水漏れ。底を取り外して成形するために、まずは徹底的にクリーニング。加熱して錫を融かし、底をはずします。底と本体を鍛って歪みを直し、別々に錫引き。その後に合体させて、再度錫引きで底をとめます。クリーニングといぶし仕上げ、つや出しの磨きで終了。最初に見た目より重傷の修理ですが、それでも新品価格の4割程度。新品の状態に戻りました。

                            酒器大修理

                             

                             

                             

                             


                            小さなベニシジミ ブドウの葉は食べられるのか? ヨーロッパの文化を感じる大鍋の修理

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                              ベニシジミ2018たまたまカメラを持っていた時、小さな蝶が目の前を横切って地上に降りたので、そっと近づくとベニシジミです。標準単焦点レンズなので、遠方から1枚、少し近寄って1枚、もっと近寄って1枚と、恐る恐る撮った最後の写真。ズームレンズを正月に壊して、見積もりしてもらった修理費の高さにあきれて、修理費より安い単焦点レンズを購入。植物ならこちらが移動すればいいのですが、鳥や蝶は近づくと逃げてしまいます。むこう側は命の危険を感じるのでしょうから、逃げるのは当然で、こちらがいかに殺気を封じるか、私の挙動が多少は静かになるかもしれません。

                               

                              エビヅル2018少し前に、ブドウの若葉が美味しいという記事を何かで読みました。まだ食べ盛りの若いころ、そこらに生えている山菜・雑草、食べられそうなものはたいてい試してみましたが、ブドウの葉は未経験。ナイアガラ系のブドウは少しありますが、軽井沢では寒すぎて周辺の果物産地のように、本格的なブドウの栽培は見られません。たとえ、ブドウ畑があったとしても、畑に侵入して若葉を摘んでくるなんて度胸もありませんし、ブドウは若葉が美味しいかはまったく未知の領域。仕事場の外に、ヤマブドウの仲間のエビヅルが生えていますが、硬くならないうちに摘んで試していようかと・・・これが美味しそうに見えるなら、相当飢えているか、いかもの食いと言われそうです。

                               

                              特大両手鍋修理

                              しばらく前に修理を依頼されていた特大の両手鍋で、イタリアで買われたものだそうです。直径が25cm、高さが15cm、容量が6リットル以上の大鍋で、スパゲッティーを茹でるものでしょうか。重さが2.85kgありますので、中身が入ると8kgに達します。銅地金も厚く、迫力満点の道具です。機械製であってもこのような本格派の銅鍋が日本のデパートなどでも普通に受け入れられるようになると、私が作るものも「重過ぎる」と言われて敬遠されなくなりそうです。

                               

                              底の部分に少し腐食が起きていますので、錫引きが必要ですが、真鍮鋳造の持ち手を本体にとめているリベット(鋲)が白いことに気づきました。通常は銅のリベットでとめてから錫引きしますので、内側にあるリベットの頭は白い錫色になりますが、外側の真鍮から出て打ち締める部分は銅の素地が見えます。白い金属・・・銀のリベットということはないでしょうから、たぶん素材はアルミかジュラルミン。もしかすると錫? アルミやジュラルミンなら、錫より融点が少し高いので、慎重に加熱しながら錫引きすれば、リベットが融けることはなさそうですが、万が一錫だったら融けて持ち手がとれてしまいます。その場合は、残った穴に銅のリベットを打ち込んで、とめ直すことになりますが、リベットの成分分析をどこかに依頼するより、腹をくくって錫引きした方が良さそうです。

                               

                              結果はリベットが融けることもなく、無事錫引き完了。預かった時点では気づかなかったのですが、汚れをクリーニングすると、底の角にへこみを修復した跡があり、多少デコボコしていましたので、そこには錫をすこし厚めに塗ってから仕上げ磨き。ヨーロッパの本格的道具造りは、50年100年の使用に耐えるものが多く、文化の深みを感じます。ひ弱な日本人では、腕の筋トレだ必要かもしれませんが。

                               

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                              ひと月以上、次々と同じ顔が現れるルピナス  23年前のやかんをクリーニング

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                                ルピナス花種

                                なんとなくボケた写真ですが、左は数週間前、右は現在のルピナスの花。30〜50cmに達する花穂は下から順序よく咲き、先端部はどんどん伸びながら、蕾がふくらみ、次第に色づいて来ます。ある時期一斉に花開くのであれば、同じ環境条件のもとですから、同じ顔つきになるのは解る気がしますが、(同じ条件下であっても個性的な顔の方がのぞましい)、一ヶ月以上にわたって、変化する環境に動ずることもなく、最後まで同じ顔をして咲き続けるというのは、よほど強固な遺伝子を持っているのだろうか。生まれる前から20年後に同じ制服を着て整列行進することが運命付けられているようで、私のようなずぼらな人間には堪え難いものを感じます。それでも最後の方はさすがにくたびれ間延びして、種を実らせ役目が終わった感が漂ってはいます。

                                 

                                先に咲いたものから順序よく実になり、種を散らしてどんどん増えます。日本名「昇り藤」と言われるルピナスですが、藤に較べると圧倒的にたくさんの種をつけ、このような半日陰地でも、荒れた砂礫地でもスクスクッと立ち上がり、葉を広げて周囲を圧倒して行くのです。

                                1741やかん修理/福田

                                23年前、結婚する二人に知人が贈ったやかんの修理。つるに記念の年月と名前を彫ってあります。2度目の修理ですが、今回は空焚きによる水漏れはなく、クリーニングのみの修理です。とはいえ、黒く焼き着いた汚れをとるのは、形が複雑なだけに鍋よりも大仕事。中には水しか入れないやかんが黒く汚れるのは、ガス台の上や横に置いたまま、隣で調理中の鍋から汚れや油煙が飛んで付着し、次に火にかけた際、それが焼き付いてしまうからでしょう。置く場所に気をつけて、表面が汚れている時は、火にかける前に洗い落としておくと、きれいに保てます。

                                 

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                                クサノオウの鮮やかな緑と黄色  16年間使い込まれた特大両手鍋の修理

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                                  クサノオウ2018クサノオウが元気です。路傍に咲き、食べられるわけでもなく、花瓶に生けられることもない花ですが、若々しい緑の葉と鮮やかな黄色い花、多数のおしべ。組み合わせとしては、ヤマブキと同じですが、花びらは色あせる前に散るので、こちらの方が鮮やかな印象です。

                                   

                                  去年の同じ時期に「毒にも薬にもなるクサノオウ」という記事を書きましたが、薬として使ったことはありません。もちろん、毒としても未使用。切り口から出る汁は毒性があるので、摘んだこともなく、だから本当にその汁に触れるとただれるかどうか、知識として知っているだけです。その程度の知識がいい加減である例として、「ヘビイチゴは毒」というのがあります。名前のせいでしょうか。子どもの頃から口に入れてみたことはあって、ちっとも美味しくないことはわかっていましたが、毒というのは濡れ衣のようです。正式な漢方では干した全草を解熱や咳止めに使うようですが、民間薬としては実を焼酎に漬けて虫さされなどのかゆみ止めに。「毒にはならないが薬になる」ヘビイチゴの色も、鮮やかな緑の葉と黄色い花です。

                                   

                                  栗林/両手鍋修理2569

                                  さて、昨日は外径30cm特大の両手鍋修理。2002年販売の記録があり、16年間使い込まれて、ひと月前クリーニングと錫引きに戻っていました。空焚きや大きな痛みはなく、丁寧に使われていますが、さすがに年月を経て外側にこびりついた汚れは頑固です。内部の汚れはそれほどではありませんが、良く油に馴染んでいる状態で、残った錫を完全に取り除いてから新たに錫引きする方が、錫ののりが良さそうです。ということで、錫引き以前の徹底したクリーニングと下ごしらえが作業の7割。ほぼ新品同様の状態に再生しました。

                                   

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                                  クロヤマアリ?キイロスズメバチ?女王  銅とステンレス二重構造のフライパン修理

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                                    アリとハチの女王

                                    数日前の蒸し暑い日、新しい女王蜂が一斉に婚姻旅行?に飛び立ったようです。気がついた時には、地上に戻って、すでに翅を落とした後でした。これから小さな巣穴を掘って、働き蟻を育てるのでしょう。一生に一度の交尾でたくさんの子どもを産む。効率が良いというべきか、気の毒というべきか。たぶん、クロヤマアリだと思いますが、クロオオアリかもしれません。このあたりで見る働き蟻は小振りで、兵隊蟻を見かけたことがありません。

                                     

                                    右は、たぶんキイロスズメバチの女王。1匹だけで冬眠し、春になるとやはり単独で小さな巣を作り、働き蜂を育てます。これから大仕事をひかえて、無駄な攻撃はしてこないだろうと、至近距離で撮影しました。肉食性の蜂で、刺さない限り害がない・・・それだけで充分有害ともいえますが、作業場に入って来たものは捕虫網で捕まえて外に。ムラサキケマンあまり何度も入ってくると、たまには殺すこともありますが。いつの間にか、軒下や壁・天井の中に大きな巣が出来ていることもあります。

                                     

                                    近所の畑の外に咲いていたムラサキケマン。紫華鬘と書いたら、なんだか平安時代頃の坊さんかお経のような気がします。よく見ると、紫色にも変化があり、花の形もおもしろい。葉もきれいで、雑草扱いにするのは惜しい。同じ形で黄色い花は、キケマン。まわり中いくらでも花がある季節でなければ、けっこう珍重されるだろうにと・・・しかし、人知れず美しく咲いているのもよしとしましょう。

                                     

                                    フライパン修理/石井様

                                    修理を終えて、昨日発送した特大フライパン。フランス製で直径30cm以上。地金も厚く2.5kgちかい重量です。これほどの豪快な道具も、デパートの展示会に出品してみたい気がします。日本の一般家庭で受け入れてもらえるでしょうか。

                                    依頼主も私も、銅地金に錫引きとばかり思い込んでいましたが、汚れを少し落としてみると、内側はステンレスを薄く圧着させた二重構造。そのタイプの修理はしたことがないので、慎重にクリーニング。通常使う希硫酸はやめて、クレンザーと灯油でゆっくり汚れ落とし。細かい真鍮ブラシで磨き上げて、修理終了。世界は広い! いろいろな製法のいろいろな道具が使われています。

                                     

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                                    星のヒヤシンス? イタリア製厚手片手鍋の修理

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                                      星のヒヤシンス

                                      昨朝は氷点下でしたが、今朝は4度ぐらい。半世紀も前のことだったと思いますが、春になると多くの家の窓辺にヒヤシンスが咲いていました。いわゆる水栽培とよばれる大きな徳利型のガラス容器の上の半球形部分に球根をのせて並んでいました。球根からは下の水に向って根が伸び、葉が出て茎が伸び花が咲く。植木鉢や土がなく、なんとなく現代的、人工衛星や宇宙探検の時代にふさわしい新鮮さを感じていたのでしょう。

                                       

                                      すっきりと片付いてシンプルな色調の家には似合いそうですが、いたるところ、窓辺りと言えども雑然と道具やら本やらが積んである仕事場では、人工的な色数が多すぎて、植物の色がくすんでしまいます。冬枯れの寂しい大地から緑が芽生え、鮮やかな花の色に出会う喜び。スイセンやクロッカスの大振りな花ではなくても、陽射しに向って咲く小さなオオイヌノフグリでも、春の到来を目一杯告げているようです。写真左は「星のヒヤシンス」というらしい。正式な名前はちょっと調べただけでは見つかりませんでした。右は原種に近いヒヤシンスでしょう。花茎が伸びて横向きに咲いていますが、地際で上向きに咲く鮮やかな空色の花の強い印象にはかないません。

                                       

                                      片手鍋修理/石井健夫

                                      昨日修理したPentole Agnelli 社製の片手鍋。直径16cmあまり深さ10cm弱の割には重さが1.2kgあります。真鍮鋳造の持ち手が重いこともありますが、本体の銅板の厚さも2.5mm としっかり作られています。家庭用と言うよりプロ用として作られたものでしょう。この厚さになると、板金から手で鎚ち絞るのは不可能ではありませんが、特別なオーダーでなければちょっと厳しいかなというところです。この製品も機械的に成形したのち、側面を鎚って締めているようです。持ち手の裏側には、滑り止めの出っ張りが3段。良く考えられています。私が作る片手鍋の真鍮持ち手は、鋳造ではなく丸棒から鎚ち伸ばし、上面と側面に横向きの鎚目を施すことで滑りにくくしています。

                                       

                                      左上が依頼された時の状態で、汚れやこびりつきはなく、錫のはげ落ちと多少の腐食が見られます。錫が少しはげたぐらいで錆が出ていなければ使用上の問題はありませんが、銅素地に腐食が見られる場合はそれ以上進まないように早めに錫引きをいした方が良いでしょう。焼き鈍りや変形はなく、錫の引き直しのためにクリーニング。いったん、残っている錫を全て取り除き、その後に新しく錫引き。錫引きは本体全体を加熱しますので、その際に生じた汚れを硫酸で落し、ピカピカに磨き挙げて新品同様(新品の状態を見たわけではありませんが)に仕上げ。強度の空焚きや変形がなく、鎚ち直しが必要ない場合は、私が作っている同じ大きさの鍋の新品価格の20%程度の修理代になります。

                                       

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                                      1994年作、かなり使い込まれた両手鍋の修理 No.1416 

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                                        1416両手鍋基本形修理

                                         

                                        22年前に作った両手鍋ですが、良く使い込まれたうえに、強い空焚きで焼き鈍り、変形も起こしていました。大きさは直径が21.2cm、本体高さ8.4cm、最近のものではNo.4743 とほぼ同じ大きさです。焼き鈍るという状態は、銅の地金が高温になって柔らかくなり、冷えた後も柔らかい状態のままになることを言います。「鉄は熱いうちに鎚て」と言われるように、金属は一般的に高温では柔らかく加工しやすい状態になります。鉄は冷めると再び硬く戻りますが、銀や銅は冷えても柔らかい状態が維持されます。柔らかくなった銅をたたいたり曲げたりすると、硬くなり、鎚ち締めると言いますが、一般的には加工硬化とよびます。

                                         

                                        この性質を利用して、一度高温で焼き鈍した銅板を冷えてから手で持って、利き手の金槌で鎚ち変形させていく工程が、鍛造とよばれる作業です。一通り全体を鎚つと加工硬化で硬く、変形しにくくなりますので、再び高温に加熱し、焼き鈍ったものをまた鎚ち変形を繰り返します。深い形ほど、その工程を多く繰り返して目標の形に成形し、最後に何度か表面をきれいに整えると同時に硬く鎚ち締める仕上げ鎚ちの後、持ち手をつけます。強い空焚きは仕上げ鎚ち直前の焼き鈍った状態に戻っていることなります。

                                         

                                        今回の鍋はこびりつきや汚れをクリーニングすると、何度か空焚きしたようで、内側には銅地金の腐食が見られます(写真左上)。そのデコボコを少しでもならすために、少し強めに底の部分を鎚ち締めると、地金がいくらか伸びてきます(中段左)。底からの立ち上がりと側面も打ち締めますが、持ち手をはずすことが出来ないので、新しい地金から鎚つより難しい作業となります(右上)。今回は予想外でしたが、蓋も焼き鈍っていましたので、ツマミを取り外して鎚ち締めました。

                                         

                                        よく使い込まれた上に強い空焚きがあると、錫引きが容易にはできません。油に馴染んでいるのか、表面が変性しているのか、原因はよく解りませんが、融かした錫を表面に流して、のりの悪いところを削り落し、再度錫をひく作業を何度かくりかえします。特に今回は底の部分の腐食をしっかり覆うように、厚めに錫をのせました。最後に、一連の作業で汚れた外面をクリーニングしてから、いぶし色に変化させる硫化仕上げと、磨きで完成です。

                                         

                                        仕上がり寸法は直径21.4cm 本体高さ8.7cm 全高約22.5cm 全重2.01kg

                                        修理代は現在の新品価格の30%程度です。

                                         

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                                        夕陽に輝く浅間山と月を標準単焦点レンズで撮ってみました  小さなフライパンの修理

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                                          180130浅間山夕景

                                          1月30日の夕方、沈みかける夕陽に輝く浅間山です。この1週間前には、草津の本白根山で死傷者が出る噴火があり、浅間山でも?という心配はありますが、草津の噴火はごく小規模。あの程度の噴火がいつ起きてもおかしくない浅間山です。いくらか広角よりの単焦点レンズで撮ったこの写真、パソコンでかなりトリミングしてあります。正月に落して壊した標準ズームの望遠サイドで撮っていた写真よりシャープな感じがします。試しに夕方昇った月の写真も撮ってみました。壊したズームの修理代が、修理内容はとても簡単であるにもかかわらず、新品価格の6割ほど、状態の良い中古を買える以上の査定額だったので修理は諦めました。

                                          180130月の出

                                          さすがに、視角では1度ほどの遠く小さな月を、画角が60度ぐらい?あるレンズで撮るのは無理があるようです。ですが、壊したズームレンズと一度に撮り較べすることも出来ませんので、どっちが良いのか判りません。判らないぐらいなら、小さくて軽い単焦点標準レンズの少し良いものを常時つけている方が扱いやすい。どんな被写体にでも対応しやすいという「ズーム信仰」を捨てた方が良さそうです。多機能の十徳ナイフより、単機能のナイフとハサミとペンチの方がはるかに機能的だと言うようなものですね。この写真の翌日は皆既月食だったようです。

                                           

                                          フライパン修理/山田敏和

                                          小さなフライパンの修理。使い込んで黒光り?という状態を大幅に通り越して、黒いこびりつきが分厚く被っています。こびりつきの正体は煤、炭化した食品と酸化した油です。これでは、せっかくの熱伝導の良さも活かされず、味にも健康にも影響がありそう。こびりつきを燃やしてとろうかとも思いましたが、空焚きによる焼き鈍りはないので、機械的にとることにしました。その後に錫引きといぶし仕上げで、すっかり元どおりです。銅鍋の手入れのポイントは、内側外側ともに汚れを残さないこと。スポンジやネットスポンジで洗ってから、乾拭きしておきましょう。この修理で、修理代は元の値段の2割あまり。焼き鈍って鎚ち直しがあっても3割程度。カメラの修理に較べると良心的価格? 新品の状態に戻って気持ちよく使えることを考えたら、リーズナブルな投資です。

                                           

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