過ぎ去った秋の色を思い起こして ヤマトシジミとヤマボウシ 新しい手順で鍋の内面を仕上げ
JUGEMテーマ:アート・デザイン
まだ晩秋の色があちこちで見られた11月初旬の写真。今はもう冬枯れの並木の中に、なぜか赤い葉を残すカエデが数本残るばかり。
落ち葉枯れ葉の上を舞う小さな蝶が草で休憩。周囲の色に溶け込み、日差しを浴びて体を温めているのだろう。成虫で越冬しないヤマトシジミだから、もう最後の季節。このところ、気温の低下は足踏みで、翅もあまり痛んでいない。例年減少し続けている虫だが、今年は特に蝶とトンボが減ったように思う。稲刈りの季節、空を舞う赤とんぼの群れを見ることもなく、物干し竿にとまったのさえ数回。昆虫たちが暑さに弱い訳ではないので、異常気象が原因ではない。海外では使用が規制されて余った除草剤が、規制のゆるい日本ではホームセンターの入り口に山積みされている。ハエや蚊を嫌がる人々が、所構わず殺虫スプレーを撒き散らす。雑草や虫、異物の存在を極端に嫌う日本人。
右の写真はヤマボウシの若木。大きな木々がほとんど葉を落とした後まで、陽だまりで艶やかに残っていた。染めた革のような渋い光沢。葉脈の深い彫り込み。
次の展示会まで2ヶ月ほどある今のうちに、仕上げ鎚ちのやり方を修正しようと試しているが、長年やって来た方法はそう簡単に改良できない。左は大鍋を絞り込んで来たもので、槌は上の頭が横長のものを使っている。右の仕上げ鎚ち(均し鎚ち)になると槌の頭をわずかに膨らませた平面に近いもので、凸凹を取りながら張りのある曲面に仕上げていく。その鎚ち加減で姿の印象が左右されるが、姿と同時に内側を滑らかに仕上げないと鍋としては使いにくい。いわば両睨みの作業、特に内側は見えない状態で鎚つため、やり直しも多い。技量を上げるだけでは限界を感じて、作業方法の改良が必要。
これまではまず鍋本体の絞り鎚ち、平らな銅板を槌と金床で外側から鎚ち起こしていく作業、これでほぼ目指す形に絞り、そこから歪みを矯正しながら仕上げ鎚ち(均し鎚ち)。この工程がすんなり行けばいいのだが、外面と内面両方の凸凹を綺麗に均しながら曲線の美しさを出すというのは、至難の技というより無謀でやり直しの連続。ドツボにはまって我が技量を呪いながら、時には一日が無駄に過ぎていく。
今回は、外面のみ全体を軽く均し鎚ちで形を整えたあと一旦焼き鈍し、底から側面への立ち上がりの内面に集中して鎚ってみた。前のようにまれに一発勝負・短時間でクリアすることはないが、かなり確実に仕上がる。時間はかかるが確実。その後、同じペースで側面も上縁まで、1段進んでは1〜2段前を再度均すというスローペースだが着実に仕上がる。「三歩進んで二歩下がる」
- 2022.11.26 Saturday
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