過ぎ去った秋の色を思い起こして ヤマトシジミとヤマボウシ  新しい手順で鍋の内面を仕上げ

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    秋ヤマトシジミ&ヤマボウシ

    まだ晩秋の色があちこちで見られた11月初旬の写真。今はもう冬枯れの並木の中に、なぜか赤い葉を残すカエデが数本残るばかり。

     

    落ち葉枯れ葉の上を舞う小さな蝶が草で休憩。周囲の色に溶け込み、日差しを浴びて体を温めているのだろう。成虫で越冬しないヤマトシジミだから、もう最後の季節。このところ、気温の低下は足踏みで、翅もあまり痛んでいない。例年減少し続けている虫だが、今年は特に蝶とトンボが減ったように思う。稲刈りの季節、空を舞う赤とんぼの群れを見ることもなく、物干し竿にとまったのさえ数回。昆虫たちが暑さに弱い訳ではないので、異常気象が原因ではない。海外では使用が規制されて余った除草剤が、規制のゆるい日本ではホームセンターの入り口に山積みされている。ハエや蚊を嫌がる人々が、所構わず殺虫スプレーを撒き散らす。雑草や虫、異物の存在を極端に嫌う日本人。

     

    右の写真はヤマボウシの若木。大きな木々がほとんど葉を落とした後まで、陽だまりで艶やかに残っていた。染めた革のような渋い光沢。葉脈の深い彫り込み。

     

    仕上げ鎚ち新技法

     

    次の展示会まで2ヶ月ほどある今のうちに、仕上げ鎚ちのやり方を修正しようと試しているが、長年やって来た方法はそう簡単に改良できない。左は大鍋を絞り込んで来たもので、槌は上の頭が横長のものを使っている。右の仕上げ鎚ち(均し鎚ち)になると槌の頭をわずかに膨らませた平面に近いもので、凸凹を取りながら張りのある曲面に仕上げていく。その鎚ち加減で姿の印象が左右されるが、姿と同時に内側を滑らかに仕上げないと鍋としては使いにくい。いわば両睨みの作業、特に内側は見えない状態で鎚つため、やり直しも多い。技量を上げるだけでは限界を感じて、作業方法の改良が必要。

     

    これまではまず鍋本体の絞り鎚ち、平らな銅板を槌と金床で外側から鎚ち起こしていく作業、これでほぼ目指す形に絞り、そこから歪みを矯正しながら仕上げ鎚ち(均し鎚ち)。この工程がすんなり行けばいいのだが、外面と内面両方の凸凹を綺麗に均しながら曲線の美しさを出すというのは、至難の技というより無謀でやり直しの連続。ドツボにはまって我が技量を呪いながら、時には一日が無駄に過ぎていく。

    今回は、外面のみ全体を軽く均し鎚ちで形を整えたあと一旦焼き鈍し、底から側面への立ち上がりの内面に集中して鎚ってみた。前のようにまれに一発勝負・短時間でクリアすることはないが、かなり確実に仕上がる。時間はかかるが確実。その後、同じペースで側面も上縁まで、1段進んでは1〜2段前を再度均すというスローペースだが着実に仕上がる。「三歩進んで二歩下がる」

     

     

     


    狂い咲きとは言えないまでも、いつまでも元気なノハラアザミとクサノオウ                          両手鍋の真鍮持ち手、製作工程は鍋本体より複雑

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      ノハラアザミとクサノオウ

      今年の秋は春の花の狂い咲きと言うほどではないが、夏の花の返り咲き、二度咲きが多い。写真の花はどちらも夏限定ではないので、この時期に咲いていてもおかしくはないのですが、やはりちょっとずれて変に元気。盛りを過ぎているのにまだ、若者の格好をしている中年のような感じ。まだまだこれから、ひと花もふた花も咲かせてみようぞ??

       

      左の、たぶんノハラアザミはまだたくさんの蕾があるだけではなく、カメムシやアリマキにもしっかり栄養を提供しています。クサノオウもまだまだ咲き続ける気でいるようです。だいぶ前から外は早朝10度を切る気温。ロゼットで冬のー15度をのりきり春早くから咲いているクサノオウにとって、この程度の寒さはなんでもないのでしょう。この後、どんな変化を辿って冬越しの姿になるのか、仕事場のすぐ横なので見届けられそうです。

       

      両手鍋持ち手工程この数年、売れ筋の片手鍋を凌ぐ数の両手鍋。形によっては、本体は共通するものもありますが、名前のとおり持ち手の形状は全く違います。真鍮手の片手鍋ではフライパンの持ち手と共通ですが、小ぶりの片手鍋は通常コクタンの持ち手をつけています。両手鍋では、長円形の縁取りがあるものは通常、縁の延長に持ち手をつけていますが、銅蓋タイプや丸い縁のものは鍋の側面に持ち手を取り付けます。

       

      フライパンタイプでも両手鍋でも真鍮手の素材は真鍮の丸棒。銅に比べて硬い真鍮は熱して柔らかくして加工します。銅の場合も熱しますが、冷えてからでも柔らかさが残るので、手で持って加工することもあります。

       

      真鍮丸棒を弧状に曲げて、両端を打ち広げ、取り付ける鍋の側面に合う角度に調整しますが、三次元的に合わせなければならないところが、すこし難しい。

       

      表面の酸化膜を硫酸で取り除き、槌目をつけたり(飾りでもありますが滑りにくく傷を目だたなくしまする効果)、再度側面と調整してから、リベットでとめるための穴あけ。

       

      写真にはありませんがその後、鍋の側面にに持ち手の穴に合わせて穴あけ。銅のリベットでとめてから隙間に錫を融かして流し入れ、補強と水が溜まってサビが出ることを防ぎます。

       

      鍋本体は単調な槌うちの繰り返しですが、持ち手はいくつものことなる工程をへて、鍋に取り付けられます。

       

       

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      黄色い花の外来種4種     酷使される道具「火造り箸」

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        外来3種

        道端でも庭先でもよく見かけそうな黄色いキクの仲間。左からキクイモモドキ、ハナガサギク、オオハンゴンソウ。いずれも外来種で、真ん中の花笠菊をキクイモモドキの八重だと紹介しているサイトも多いのですが、葉が大きく裂けていることからオオハンゴンソウの八重と見るの方が良いでしょう。オオハンゴンソウといえば特定外来種ですが、こちらは背丈が高いもののよろよろっとひ弱な印象で、それほど生態系に害があるようには見えない。

         

        左のキクイモモドキは食用になる芋ができるキクイモとよく似ていますが花期が早く、キクイモが咲く頃には花が終わります。右の嫌われ者オオハンゴンソウの花びらは下に垂れていることが多く、深い切れ込みのある大きな葉がハンゴンソウに似て大きな花をつけることからの名前でしょう。同じキク科ではありますが近縁ではない。この一族はルドベキアの総称で園芸種として普及していて、その中で野生化し繁殖力が強いオオハンゴンソウが駆除の対象。反魂とは死者の魂を呼び戻すこと。前に掲載したハナガサギク(八重咲きハンゴンソウ)は盆花として活けられるので反魂草の名前もあながち偽りではないかも。

         

        月見草?黄色い花の外来種では代表格。少し前の雨上がりの早朝。有明の月というには少し遅い時間ですが、前夜から咲いていた「月見草」。しかし、本当の月見草は白い花。黄色い花は待宵草の仲間たち。富士山に似合うと書かれたのも待宵草の方でしょう。この仲間たちはいずれも到来時期は異なるが外来種。以前はマツヨイグサとオオマツヨイグサの見分けがつけばよかったが、新規参入者も増えて今はそうもいかないようです。これは花びらの間があいていることから、たぶんメマツヨイグサ。

         

        火造り箸

        鎚ち絞って成型の途中のもの、次に取り掛かる切り出したばかりの素材。次の工程は焼き鈍し。手入れのされていない「やっとこ」が並んでいますが、通常のやっとこは左にある一番小さいもの。火にかけて真っ赤になった銅板や真鍮棒を咥えて加工作業をするときに使います。咥えた素材から熱が伝わって持てないほど熱くなることもあり、冷水で冷やすために、使い込んでも油びかりのする「美しい道具」の状態ならない。冷遇とは言えないが酷使されている道具。一番大きなものは長年の使用で先が薄くなり、このたび新しく取り寄せたのが右端。ネットで注文する際、名前がわからずなかなか見つかりませんでしたが、御本名は「火造り箸 平箸」です。

         

         

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        広く咲き誇る黄色い花の色は意外に変化が少ない        急ぎ作り始めたかんつけ の焼き鈍しと鎚ち絞り

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          黄色い花3種

          野原にも道端にも黄色い花があふれている。よく見ると、青い花、紫の花、ピンクの花・・・様々な色彩が見られる春ですが、なぜか黄色の花はどれも色が似ています。形や大きさはいろいろですが、色の変化は乏しい。進化の過程で、花に寄ってくる虫たちに一番アピールする色にそろってしまったのだろうか。確かに目立ちます。赤や青の花の色合いはとても幅広く、形を見なくても青色の具合だけでざっと花の種を見分けられるほどです。スミレの青、オオイヌノフグリの青、オダマキの青・・・それぞれ独特の青。

           

          黄色い花は広い面積を覆うことが多いような気もします。一面の菜の花、一面のタンポポ、一面のヤマブキ。物量作戦で虫を惹きつけているのが効率良いのか。黄色い花は「風景」です。

          タンポポと浅間

          ちょっと出来過ぎの風景。いかにも日本の原風景のようですが、タンポポは外来のセイヨウタンポポ。茅葺の家も移築されたものでしょう。畑には野生動物の食害を防ぐ電気柵が張られています。戦後の開拓で開かれた畑にはポトポチと別荘が建ち、一部は林に戻っています。変わらないのは浅間山だけでしょうか。それも大噴火すれば形まで変わってしまい、植生も人の営みも石や灰に埋もれてしまうかもしれません。

           

          焼き鈍し今、開催中の静岡市 亀山画廊から電話で、地元紙に掲載された展示会の写真に中心に写っているかんつけが売れてしまって、在庫はないかという問い合わせ。ありったけの作品を出品しているので、在庫は何もありません。会期の後半に間に合うよう、急遽作り始まることに。

           

          焼き鈍しては鎚T絞る工程を繰り返している途中の様子です。右下は全体を金槌と金床で鎚ち絞って固くなった状態。金属一般に見られる加工硬化と現象で、このままではこれ以上の変形作業は進みません。赤くなるまで加熱して柔らかく焼き鈍し、冷えた状態が右真ん中。表面が参加したままでは汚れて作業しにくいため、薄い硫酸で洗った状態が右上の写真。この状態で、再び鎚ち絞ります。

           

           

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          環境の変化に柔軟に対応する草の冬越し              フライパンや片手鍋の真鍮持ち手の制作工程

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            スゲ?冬越し隣の家の空き地に生える草で、今は花も実もなく名前はわかりません。秋その辺りにあったのはエノコログサ。その冬越しの姿でしょうか? イネ科やスゲ科の草が紅葉しているのは初めて見ました。この冬は色々な草の葉の紅葉が見られます。一つ二つ見つけると、他にもあるのではないかと注目するせいかもしれません。冬はとっくに枯れて無くなっているだろうと思う草が、意外にも色変わりして寒さに耐えている。

            マンネングサ芽生え

            昨年の晩秋から冬の間、雪は少なめでしたが特に暖かいという印象はありません。むしろ、だらだら寒かったのですが、氷点下15度以下に下がるようなことがなかったのは確かです。通常は地上部が枯れて、地中の根だけになる草も、この冬は冬越し戦略を変更したのかもしれません。

             

            石垣の隙間に芽生えたマンネングサの仲間(たぶんツルマンネングサ)を見ると、寒さで変色した茎もあれば、芽吹いたばかりの葉の先端もなんとなく赤い。教科書通りの生き方ではなく、ちょっとした環境の変化に対応して臨機応変に生き方を変えていくのでしょう。

             

            片手鍋持ち手制作フライパンや片手鍋の持ち手を作っているところです。素材は真鍮の丸棒。以前は鍋本体と同じ銅の丸棒から作っていましたが、薄く軽くするために強度のある真鍮にかえ、本体との色の違いも出しています。強度がある分、成形には力と時間がかかります。鎚ち広げて伸ばし、鎚目を施してから、本体に取り付ける部分を二股に割く。吊り下げる穴を切り抜き、銘を入れ、リベットで止める穴をあけるまで、鋳型で一気に作る鋳造の持ち手と違い、鎚で鎚つ鍛造は多くの工程があります。

             

            持ち手取り付け部仕上げ鎚ちが終わった鍋本体にリベットで取り付けます。昔はそれを「かしめる」と言ったようですが、いまだにどんな漢字を当てるのか知りません。鍋本体の内側に錫引きをする際、持ち手を取りつけた隙間に水が入ってサビが出るのを防ぐために、融かした錫を流し込みます。取り付け強度もこれで格段に強化。このタイプの持ち手が使っているうちにぐらついたという話は一度もありません。銅のフライパンは熱が持ち手に伝わりやすいので、必ず鍋つかみや手ぬぐいで持ってください。

             



             

             


             


            冬を室内で過ごし、たまに花開くナスターシャム        真鍮の丸棒から両手鍋の持ち手を作る

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              ナスターシャム202103殺風景な仕事場ですが、鉢植えの花が二鉢だけ。大きな鉢に3年前からの生き続けているピーマンが一株。時々つまんで使うパセリが一株。売れ残って安くなっていた西洋サクラソウがいくつかと、外でこぼれダネから発芽したナスターシャムが一株。ナスターシャムは秋に霜が降りる直前に植え替えたものです。これが時々忘れた頃にポンと咲きます。花は一つだけでも存在感たっぷり。木々の上に朝日が昇ったような。この葉も独特の辛味と香りがありますので、つまんで肉の添え物にしてみようかと・・・食べ始めるとそんな優雅な思惑はころっと忘れてしまいます。

               

              両手鍋持ち手制作両手鍋に取り付ける持ち手を作るところ。素材は左下にある真鍮の丸い棒。道具は木槌、金槌とアンビル(西洋金床)。昔、馬の蹄鉄を作るのに使われた道具の小型版です。真鍮は銅の合金ですが、鋳造用の固いものは無理に曲げると割れてしまいます。加工できるタイプの真鍮棒を加熱しながら曲げ、両手鍋の側面に合わせながら、取り付け部分を成形します。

              以前は持ち手も銅の丸棒から作りましたが、強度とデザインの点から真鍮に変更。鍛造の銅鍋でも、作者によっては持ち手だけ鋳造(鋳物)で造られたものもあります。私は、ちょっと手間がかかりますが、本体の大きさや表情に合わせて自由に作れるこの方法をとっています。持ち手を取り付けると、次は錫引き。その後、いぶし仕上げと磨きで完成です。

               

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              高冷地の春はまだ遠く・・・防寒毛皮にくるまったコブシの花芽      小ぶりの鍋の仕上げ鎚ち

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                コブシ花芽一昨日の小雪もとけて陽射しをあびるコブシの花芽。今朝も氷点下5度。防寒毛皮をを脱ぎ捨ててコブシが白い花びらを開くのは、まだまだひと月以上先のことです。

                 

                北国の春は、周辺の地域も一斉に春を迎えますが、高冷地軽井沢ではすぐ隣町も標高が200m低い。県境を越えて上州に下ると一気に700mの標高差。千曲川を遡上するように、長野市、上田、佐久小諸、御代田町と、毎週つぎつぎ周りから花の便りが聞かれるようになると、次第に取り残された気分になり、下界へ花見に行く人も。中には、週末ごとに花見に出かけて、地元で桜が咲くゴールデンウィークにはもう飲み疲れている人もいます。その時期、軽井沢では商売も忙しく、家でも来客の接待で、ゆっくり花見どころではないということも。

                 

                丸縁小鍋仕上げ鎚ち昨日は夕方から外出で、仕上がった鍋はありません。毎日、ポコポコと仕上がるようなら、今頃は私ももっと・・・・になっているに違いありません。順調にいっても時間がかかる仕上げ作業、時々手こずってやり直し、なんてこともあります。

                写真は丸い縁のある小鍋の仕上げ鎚ち途中。下にある金床に内側をあてて、木の柄の金鎚で外側から表面を鎚ち整えていきます。外面に施される鎚目と同時に、全体の曲線の美しさや内面の滑らかさに神経を集中。内面の方がむしろむずかしい。

                この小鍋、つる鍋にするか片手鍋にするか迷っていましたが、しばらく作っていなかった小ぶりの両手鍋に仕上げることにしました。

                 

                 

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                鍋料理・・・鍋を囲んで温かい食事を楽しむ            火锅・・・・一家团圆,围绕暖炉,一室笑语

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                  本格的な冬型で中程度の寒波到来  両手鍋の素材と制作途中

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                    2018122903時天気図昨日28日、町を来るまで走っていると中学生の下校時間。終業式で制服姿、荷物を一杯持って国道を歩いている。3連休で22日に終業式だった都会の学校からまるまる1週間遅れで冬休みに入りました。東京よりはるかに寒い冬ですので、むしろ早く休みにしてあげたいぐらいなのですが、世間が休みになると忙しい軽井沢の大人達にとっては、子どもを学校であずかっていてほしい。正月はゆっくり出来る家庭と、忙しく猫の手も借りたい家庭に分かれます。

                     

                    昨日は最高気温がマイナス1.5度で真冬日。今朝マイナス10度近くに下がっています。昨日一日中寒かったので、3時半に起きると室温0度。これは灯油ストーブが床の近くを測るためで、1mぐらいの高さでは3度。天気図は移動性の高気圧ではなく、シベリアにどっしりと中心を据えた寒気団が張り出して来て、西高東低の縦縞等圧線を描いています。今夜から各地に大雪の情報も。まあ、間違いなく冬ですね。

                     

                    両手鍋制作道具今年最後の銅板仕入れが届き、借金年越しは嫌なので即、代金振込。素材を買い込む時はいつも、さあ作りまくるぞと決意しますが、さりとてガチャポンガチャポンとできるわけではなく、一日が終わってみればまあこんなものかと納得。来年の展示会場に、道具と制作途中の状態を一つ展示できないかと言われて送った写真です。素材と道具、鍛ち絞る途中の状態や作りかけの持ち手とつまみ。

                     

                    丸く切り出した銅板は底(中心部)から外側へと、同心円状に鍛ち絞っていきます。外側の艶がないところはは焼きなましたままの柔らかい状態。鎚の跡がついている光っているところは、内側に向けてへこましたところで、すでに硬化しています。外縁まで鍛つと、半径は1cmほど絞り込まれ、再度焼き鈍して鍛ち絞ります。深さによって5回から10回、その作業をくりかえすと、あらかたの形が完成。実はその後の仕上げ鍛ちの方に時間がかかります。

                     

                    さて、今年も最後の追い込みですが、制作途中のものがいくつも年を越しそうです。

                     

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                    春から冬に逆戻りのー10度  注ぎ口について酒器大No.4631,4632を例に

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                      ノボロギクB3月昼間の陽射しが温める焼け石に石垣に生えるノボロギクが寒さに耐える様子を少し前に紹介しました。同じ株が今週は花や蕾を増やし、春を迎えています。動物の場合は気温の上昇だけではなく、日照時間が伸びることで春のスイッチが入ることが多いようですが、視神経がない植物はどうでしょうか。乾燥地帯なら降雨が成長のきっかけになることもあるでしょうが、日本の環境ではやはり気温にもっとも左右されると思われます。

                       

                      春の便りに注目していたら、今朝は氷点下10度。冬型の気圧配置に逆戻りです。温かい日で気が緩んだ身には多少きつい寒さですが、植物だって不用意に新芽を出したりすると、5月の霜害のようにもたげた頭をたたかれることがあるかもしれません。

                       

                      注ぎ口昨日の仕上げは酒器の大2点。注ぎ口をアップで写しました。焼き物の注ぎ口は壊れやすく、そのためにあまり薄く作ることができません。その結果、どうしてもきれいに水が切れず、回り込んでしまいやすくなります。その点、金属では注ぎ口先端部を薄く作れますので、水切りは問題なし・・・のはずですが、市販のやかんにはお行儀の悪いものが多いようです。薄くしても割れることはありませんが、ぶつけると変形しやすいことは避けられません。

                       

                      修理に戻ってくる片手鍋では、多くの場合注ぎ口の変形が見られます。錫引きなど、他の部分の修理も必要な場合は、送っていただいた方がいいのですが、注ぎ口の歪みだけの場合はご自分でも多少修正できます。まな板の上に片手鍋や酒器を裏返しに伏せて置き、利き手ではない方の手で本体を少し注ぎ口の方に傾けます。その状態で利き手にしゃもじを反対向けに持ち、しゃもじ柄の先端の平らな部分で歪んだ注ぎ口の先端部を裏側からまな板の押し付けると、案外簡単に修正できます。フライパンの注ぎ口もお試し下さい。ご自分でやれるか、他の部分の修理も必要かなど、判断がつかない場合は、写真を何枚か添付して、メールでご相談下さい。

                       

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                      銅パイプに鎚目をほどこす作業と道具 酒器成形の鎚と芯がね

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                        酒器の鎚目このところ度々登場する酒器ですが、酢重鍋とともに新しく開店するレストランのオーダーです。まとまったオーダーでも、作るのは型でガチャポンとは行きませんので、特に旨味はありません。それでも、売るための営業時間がかからないことがありがたいと言えます。

                         

                        切った銅パイプに銀ロウを融かして流し、冷えてからきれいに酸で洗って成形にかかります。注ぎ口を除いて、2種類の鎚で表面に鎚目を鎚ち付けながら、同時に上下端は広げ、中心部は絞り込むように形を整えて行きます。上部の銀流しの部分はザラザラの鎚目。荒らし目と言っていますが、人によっては砂目とか、柄によっていろいろな呼び方があるようです。下部は縦長の鎚目。右の鉄棒は芯がねと言い、パイプに中に差し込んで、鎚でうつ打撃を受けとめる金床の一種です。これがないと、鎚つたびにボコっとへこんで形を成さなくなります。

                         

                        酒器の鎚左端の鎚で縦長の目をうちつけますが、この鎚は鍛金用の硬い鉄で、好みの角度や丸みを削り出して作ります。真ん中が銀の部分を鎚つ鎚。市販の比較的柔らかい金鎚の表面をデコボコに荒らしてあります。この場合はランダムに荒らしていますが、好みでいろいろな模様にすることが出来ます。道具としての機能性が問われるものが多く、私は柄や色にこだわるよりは形・姿の勝負と思っていますので、鎚目はシンプルに。荒らし目を施した後で、あまりザラザラ引っかかるようでは困るのと、銀の輝きを出すために、右端の鎚で軽く表面をならすように鎚ちます。この鎚は打面に傷があると、それがうたれる側の金属表面に転写されますので、たえずピカピカに磨いておくことが重要です。

                         

                        酒器鎚目終了鎚目と成形を同時に進めて、全体が鎚ち終った状態です。銀と銅の境目辺りでは、もとのパイプの直径より5mmほど細く絞り込み、上下端は5〜7mmほど広がるように鎚ってあります。ならし鎚ちはこれからの状態で、先に口を鎚ち広げます。よく見ると、右側のものは底の近くでいくらか急に広がっていますので、その前に修正する必要がありそうです。これも好みの領域ですが、上部は曲線的に広げて、銅の部分はどちらかと言うと直線的な広がりにしています。このあたりになると、そのときの気分次第で変わってきますが。

                         

                        底を作ってから錫引きですが、覗き込みながら細長いパイプ状の内部にむらなく錫を融かして流すのは、あまり楽しい作業ではありません。はっきり言うと嫌な仕事ですが、底と本体を漏れなくしっかりと固定するためには、もちろんメッキで仕上げるわけにはいきません。

                         

                        鎚目についてざっと書いてみました。柔らかいアルミのペン皿や板に、簡単な鏨(たがね)で絵柄や名前を彫る作業を中学校で習った人もいるでしょう。鎚目は鏨を使わす直接鎚でうつため、同時に成形も行います。プロとしての微妙なコントロールや緻密さは要求されますが、やっている動作は単調な繰り返しです。
                         

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                        お正月の凧揚げ 酢重鍋の修復

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                          凧揚げAお正月の写真です。年寄りぶって、最近の子どもはお正月らしい遊びをしないで、ゲームばかりしている、などと言うつもりはありません。公園では都会から来たらしい親子連れがかなり見られました。児童館や保育園では、独楽回しやカルタ取りをおしえています。物忘れの進んだ年寄りでは、百人一首で小学生に負けてがっくりということもありそうです。

                           

                          今年のお正月は穏やかな天候で風も弱く、凧揚げは苦労していたようです。寒い中を走れば体も温まります。寒の入り以降は冬本番の寒さと積雪。この3日間は氷点下12度前後。昨日から日本海側は大雪のようですが、冬型の気圧配置では内陸の軽井沢は手前の山脈で雪を落して、ひたすら寒風がふくだけになります。雪がないと土ぼこりが舞って、喉をやられる人が増えますが、現在の積雪15cm、雪は融けるのではなく蒸発(昇華)していきます。

                           

                          酢重鍋修理

                          昨日は、酢重鍋の修理。酢重レストランが開店した初期のもので、20年近く毎日何回転もご飯を炊いてきた鍋です。当時は「酢重」の銘を持ち手の下に遠慮がちに入れています。現在は両手の間、大きさは同じですが正面に堂々と刻んでいます。本体も蓋も何度か落したらしく歪んで蓋が合わない状態でしたが、空焚きによる焼き鈍りはなく、ざっと鎚って形を整え・・・・このような場合いちばんやっかいなの錫引きです。最後にピカピカに磨き上げて修復終了。レストラン酢重のカウンターに復帰です

                           

                           

                           

                           

                           

                           

                           

                           

                           

                           


                          銅器に銘を刻む 鏨とおたふく槌

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                            鏨とおたふく槌

                            戦後の一時期、民芸運動を中心に工芸制作の一部では「無名性」ということが言われました。貴族社会で使われる工芸品と違い、一般庶民が日常使う道具は「名もない職人」によって作られてきたことから、現代の作り手も名前を売り出して価格を上げて、生活から遊離した「作品」になることを戒める意味だったと思います。しかし、その民芸運動を展開していたのは「有名作家」「有名評論家」でありながら、一般の職人に無名性を説くと言う矛盾も感じられました。周囲を見れば、余程のまがい物、クレームから逃げたい粗雑な製造物でない限り、量産品には製造元、ロゴが入っています。銘を入れたことで特別高く売れる、なんてことになってもいないのに、銘を入れるかどうか悩んでも仕方ありません。そして今日に到るまで幸か不幸か、その悩みに苛まされることはありませんでした。

                             

                            酢重/銘上の写真で扇状に並べてあるのは鏨(たがね)と呼ぶ道具。先端があまりノミほどは鋭くない両刃で、細い線を刻む「毛彫り鏨」と呼ばれるものです。左の三つは鏨用の鉄棒を好きな形状に研いで作ります。右の二つは切り鏨で、ここでは直線の彫りに使っています。鏨を鎚つ頭の短い槌は「おたふく槌」とよんでいますが、さて若い人にその語源がイメージできるでしょうか。

                             

                            右の写真は酢重鍋の銘入れ。これはレストランのお客様にも見えるように少し大きめで、一字が14mm四方。あまりひどい失敗をすると、それまでの何日間もの仕事がフイになりますので、小さな作業ですがかなり緊張します。サインペンで下書きして、切り鏨で細くなぞり、鈍角の毛彫り鏨で肉付けします。

                             

                            通常の銅器や銅鍋にはシンプルに「寺山」とだけ、5mm四方ぐらいの字で刻みます。こちらは何千回もやってきた作業ですので、下書きもなしでトントンと。目立たせることもなく、さりとて隠すものでもなく、さらっとどこかに刻まれています。

                            寺山/銘

                             

                             

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                            銅蓋につく真鍮のつまみ/工程と形について  The brass knob of copper pot lid / About the shape and the production process.

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                              蓋つまみ

                              鍋の銅蓋のてっぺんにつく「つまみ」。市販品の場合、家庭用では木やプラスティックで作られていることが多く、業務用では蓋の素材と同じことが多いようです。私も以前は銅で作っていましたが、持ち手を銅から真鍮に変えた頃から、つまみも合わせて真鍮にしました。無垢の丸棒から造りますが、真鍮は銅より硬く、加熱状態でも鎚ち延ばすのに時間がかかります。冷えた状態で鎚つ鍋本体と違い、熱いうちに鎚つためヤットコで掴んで作業しますので、あまり細やかな仕上がりにはなりません。もちろん、際限なく時間をかけられるのであれば、「芸術的つまみ」を作れるでしょうが、つまみのために価格をウン?万円高くするわけにもいきません。もっとも、いくらかかってもいいから「芸術的つまみ」を作ってほしいと言われたら、ハタと考え込んでしまいそうです。

                               

                              写真右は素材となる真鍮の丸棒、その右は鎚ち延ばして丸くし継ぎ目を銀ロウで溶接した状態、さらに右端の芯金(鉄の丸棒)で形を整えてから表面を鎚って鎚目をほどこし取り付け穴をあけた状態です。写真左、右の工程で仕上げたつまみを蓋に中心に銅のリペットで取付て、隙間に錫を流します。リペットだけではツマミが回転しますし、隙間に入った水が錆のもとになりますので、錫を融かして流すのですが、市販のものではこの工程を行っているものを見たことがありません。

                               

                              真鍮は銅ほど熱伝導が良くなさそうですが、それでも直接手で持つと火傷します。鍋つかみやタオルで持ち上げやすい形状にしないと危険です。この円形の形は、一種のトレードマークでもありますが、急いで蓋を開ける時には菜箸でもおたまの柄でも通して持ち上げられます。これは意外に便利。収納するにはちょっと邪魔ですが、しまい込む暇がないぐらい使い込んでいただければと思っています。

                               

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                              落とし蓋の説明をつけることにしました。 How to use the small wood lid in deep inside of the pot.

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                                2016.11.13.枯れ葉に霜この数日、暖かいと言っても早朝は氷点下。枯れて落ちた樹々の葉も、霜をまとって朝日に輝くと、がぜん美しくなります。

                                 

                                いつものことですが、展示会の会期が始まってお客様が手にとって見始めると、あれがたりない、これも足りないと気づいて、ああもっと作ればよかったのにと反省が始まります。毎日10数時間の労働が続くブラック自営業ですので、反省したとて以後ポコポコと作品を増やせることはありません。しかも、展示会直前は出品一覧表やプライスカード、荷造りなどの事務・雑用が重なります。もう何年も前から、会場でお客様に見てもらえる動画を作りたいと思いながら、今年もまだかないません。かわりに、作品の種類ごとに葉書サイズの説明を添えていますが、伊勢丹新宿店の展示で痛感したのは、せめて英語の説明があったら良かったということ。中国語版もあればと思いますが、私の力ではとても及びません。自動翻訳という手もありますが、翻訳の間違いもチェックできないのでは不安が残ります。と言ってビビっていてもしかたないので、来年はチャレンジしてみましょう。

                                 

                                鍋そのものについてはなんとか英語でも説明を試みてきましたが、意外な落とし穴はオマケにつけた「落とし蓋」。落とし蓋で煮炊きするのは日本独特の調理法なのかもしれません。購入された外国のお客様が帰宅して鍋を取り出して気づき、木蓋のサイズが小さすぎるから交換してほしいというメールの連絡が続けてありました。両手鍋の追作オーダーされたお客様には、新しく「木落とし蓋 The small wood lid 」の説明文を鍋に添えて送りました。怪しげな英語ですので、間違いがあればご指摘をいただけるとありがたいです。日本人でも若い世代は、洋食や炒め物が多いので、落とし蓋の良さを知らないかもしれませんね。

                                落とし蓋/説明ハガキ

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                                新しい電動工具

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                                  新しい道具

                                   

                                  左上の真新しい電動工具。卓上丸鋸に金工・木工兼用刃をつけて、既に試運転済みです。真鍮無垢棒が何本も束にしたままで、サクサクっと切れます。水平・垂直方向に斜め切りも、幅広の板も切れる予定。さて、どれぐらい出番があることやら。作業時間の7割ぐらいは鎚でたたいているので、時間的には切る作業はせいぜい数%。能率アップより、きれいで自在な切断が狙いです。これまで、木工は右上のジグソーを主に使って来ました。35年になるベテラン工具です。

                                   

                                  左下は電動切断機。これも30年は使っています。直径の大きな銅パイプも切れるので、出番は減りますがこれからも使うでしょう。切りくずが粉末状で飛び散るのが難ですが、無骨な割に切断面はきれいです。右下の二つは手動。上はパイプカッターで、丸い小さな刃とローラーの間にパイプをはさんで、右のハンドルでじわじわ締め付けながら、カッターを回すと刃が食い込んでパイプが切れます。パイプ切断面の内側に押されて出来るバリが問題です。その下のヤットコ風の道具は、丸棒状の金属を切るカッター。梃子の原理を2回使っているので、弱い力で楽に切れます。どちらも手動で力をどのように一点に集中させるのか、ユニークな構造の道具です。

                                   

                                  さて、新しい卓上丸鋸。十徳ナイフのような多機能より、道具はシンプルで単機能が好みなので、ちょっと異質な新工具です。価格は3万5千円ほど。それでも、カメラやパソコン周辺の道具類を除くと、最高価格。ふだん、如何に原始的な道具ばかり使っている事か、想像がつくと思います。

                                   

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                                  両手鍋の粗鎚ちと仕上げ鎚ち

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                                    両手鍋途中

                                    しばらく新作の紹介が途絶えています。その間、オーダーの溜まってい両手鍋に一斉に取りかかっていました。写真の他にも数点同時に開始ですが、進行の具合はばらばらです。前列左側は木蓋を乗せるタイプ。右側は酢重レストランで使う大きな深い鍋です。左上は炊飯型の中ぶり。仕上げ鎚ちが終ってこれから蓋にかかります。

                                    炊飯型は本体に段差を作るために、仕上げ鎚ちに時間がかかります。写真にある他の鍋全部を銅板からあらかた成形するまでの時間と同じぐらい、一つの仕上げにかかります。その工程で描く微妙な曲面が勝負どころです。そこまでの粗鎚ちは機械でも出来ますし、一年ぐらいの経験でも手鎚ちで出来るでしょう。その工程に時間がかかるのであれば、外注したり人を雇ったりということも考えられますが、実際はそれほど時間がかかりません(と言っても2〜3時間でざっと成形できるのは余程小さな片手鍋ぐらいですが)。緻密な丁寧さと形に対する感覚が要求される仕上げ鎚ちを任せられる人を育てるには、5年以上かかると思われます。しかも、仕上げの要求水準が自分の中で高まる程、その水準を満たすためにかかる時間が長くなります。腕が上がるほど時間がかかるようになると言うと解りにくいのですが、品質が良くなるほど時間がかかるというと、納得していただけます。どうも、そのあたりがこの仕事の限界というか、いい仕事をする人がいなくなって、絶滅危惧職と自嘲する原因のようです。
                                     
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                                    真鍮の丸棒を熱しながら、鍋の持ち手を作る

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                                      日の出冬至の頃に撮った日の出。一番手前のボロ屋根が作業場です。暖かい朝でしたので、霜も降りていませんが、今朝はマイナス10度。寒波様のお越しです。世間はすっかり年末モードで、スーパーの売り場配置も正月用品がのさばっています。セットのお節料理を予約する人もいれば、5日も前から手料理で準備する人もいるのでしょう。年末年始もなく仕事が続きそうですが、観光地軽井沢には、休暇を楽しむ人々のために、自分の休暇は後回しという人がたくさんいます。昔ほどではありませんが、田舎に残った長男の家は、都会に出た兄弟家族の帰省で大忙しがしということもあります。そんな地域では、自分たちの新年を旧正月に変更しても良さそうです。1月末の展示会が終了してから、私も新年をゆっくり楽しみたいと思います。

                                      持ち手を作る鍋本体を鎚ち終ってから、細かい仕事が続きます。最初に真鍮の丸棒から持ち手を作るのですが、鍋の側面のカーブに合わせなければなりません。最初の頃は持ち手も銅で作っていました。雰囲気はいいのですが、強度を持たせるために太めの丸棒を使用しますので、その分重くなります。真鍮にかえたことで、少し軽くし上がり、印象も明るくなりました。

                                      真鍮は銅より硬く、伸ばしたり曲げたりするのに、何度も加熱して鎚たなければなりません。鍋本体は焼き鈍した後に冷えてから手で持って鎚ち絞りますが、持ち手は熱いうちに鎚って成形します。ヤットコでくわえなけ
                                      真鍮持ち手ればなりません。右上の写真中央は西洋金床(アンビル)と呼ばれる鉄の塊で、馬の蹄鉄を整形するのに向いた形をしています。No.4467両手鍋の持ち手を作っている途中の状態で、黄色い棒が持ち手の素材。弓なりに湾曲させたものは持ち手になり、その間にある中央と両側を広げたものが蓋のつまみになります。鍋に合わせながらあらかた成形したあと、よく焼き鈍して、酸で洗い、冷えた状態で手で持って仕上げます。
                                       
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                                      銅鍋の重さについて  The weight of Copper pans.

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                                        4382フライパン左

                                        もう、すっかり定着しました「左手用フライパン」です。レギュラーに作っているものの中では一番軽い方です。あまり直径が小さくなると、ガス台の上で安定しませんが、フライパンは浅く広いので、もう一サイズ小さいものもいいかもしれません。逆に、大きくなると重くなりますので、敬遠される事もあります。フライパンは重心から離れたところで持ちますので、両手鍋に較べると重く感じます。重心の真上を持つ「つる鍋」は、片手で持つにもかかわらず、軽く感じます。

                                        重さは、本体部分の厚さと持ち手の形状で決まります。銅板の厚さは、本体が大きいものほど厚くします。丈夫さと熱の伝わりをむらなくという理由からですが、多少薄くしても火加減に注意して使っていただければ、、おおきな問題はないでしょう。汁物、煮物、炒め物では、やはり高温になる調理ほど、厚い銅板が適しています。厚さを薄くし、持ち手を細くすることで、2〜3割軽くする事はできます。オーダーされる時にご相談いただければ、検討しながら制作します。しかし、はじめて展示会場で持ってみて、「わっ!重い」と感じても、何回か使ううちに手がその重さを覚えて、慣れてしまいます。煮込み用の両手鍋などは、中身の方が本体より重くなりますので、本体を軽くしても、使用感があまり変わらないこともあります。

                                        重さだけでなく、直径と深さ、持ち手の形状など、オーダーされる際にお気軽にご相談下さい。出来るだけ使いやすく作りたいと思います。

                                        No.4382 フライパン 直径17.9cm 本体部分高さ4.2cm 持ち手長さ15.5cm 重さ477g
                                        税別本体価格 ¥38,000

                                         
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                                        銀流し部分をヘラで磨く

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                                          銀流し「/ヘラ磨き

                                          またまた突然に酒器大小、軽井沢のお店にと言われ、急遽仕上げ。銅のパイプに銀ロウを融かして塗る工程まではやってありましたので、急いで鎚ち、錫をひいて、いぶし仕上げの後で、最後に細かい真鍮ブラシで磨きます。それだけでは、銀流しの部分がピカッと輝かないので、滑らかに磨いた鉄のヘラでこすりつけて艶を出します。彫金の人ならそこは「青棒」という緑色の研磨剤と回転フェルトで艶だしするのですが、力任せにヘラを押し付けて銀の表面の細かいキズを埋めて光らせる方が私の性格に合うようです。使っているうちに黒ずんできたら、ステンレスのスプーンの腹でこすってみて下さい。ピカッと輝きます。銀器磨きを使う時は、銅素地の部分にかからないように、気をつけて下さい。薬剤を使うよりは、歯ブラシにクレンザーをつけた磨いた方がきれいになりますが、その場合も銅の部分は避けて下さい。

                                          根が乱暴なのか、きちんと職人修業を経験していないせいか、私の工法はかなり力任せなところがあります。日展や伝統工芸展向きの仕事ではありません。普通の人が普通の暮しの中で普通に使うことを想定し、それに耐えられる強度のある道具を作っています。もっとも、有名公募展では、鍋釜は門前払いでしょう。一度も応募した事はありません。その上、鍛造の銅鍋作りなんてまさに「絶滅危惧職」ですので、競争相手もあまりおらず、勝手に「日本一の鍋作り」なんて言っています。「井の中の蛙」をやっているうちに、回りに井戸そのものが無くなってきてしまいました。他人と競争しても仕方ないので、昨日の自分と競うように・・・今日仕上げたものが、過去に作ったものより出来が悪いなんて、許せませんよね。

                                           
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                                            あい
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